第4回 子どもの援助者

第4回 子どもの援助者
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 子どもは発達する過程で、自分で努力したり、工夫したりします。困ったり、悩んだりもします。苦戦することもあります。子どもの苦戦は「自助」のプロセスと言えますし、成長につながります。

 しかし、自分だけでは解決できない苦戦に出合うことも、しばしばあります。そのとき、子どもは友人や家族に助けを求めたり、先生やスクールカウンセラー(SC)に相談したりします。友人や家族の援助は「互助」であり、先生やSCの援助はフォーマルな「公助」と言えます。

学校教育では、子どもの自助の力を育てながら、互助や公助を活用する力を育てることが求められています。今注目されている「SOSを発信する力」は、互助や公助の活用の鍵となるものです。

 学校心理学で提唱する「4種類のヘルパー(援助者)」について説明します(石隈・家近,2021)。第一に、子どもが学校生活で苦戦するときに相談するのが友人です。友人は、子どもとの関係の中で自発的に援助し合うものであり、「ボランティアヘルパー」と言えます。ただし、子どもがボランティアヘルパーからもらえる援助には、個人差があります。そこで「ピアサポートプログラム」などを実施して、親しい友人でなくてもサポートするスキルと学級風土をつくる意義があるのです。

 第二に、子どもが相談するのは保護者であり家族です。家族には子どもを援助する役割がありますので、「役割的ヘルパー」と言えます。保護者は、子どもの人生にとって中心的なヘルパーです。保護者が安心して子どもを援助できるように支えるのが、学校の先生やSCの役割です。

 第三に、子どもは先生に相談します。先生は教科等の指導もしながら、子どもの悩みに対応しますので、「複合的ヘルパー」と言えます。全ての教師はヘルパーですが、教師の子どもを援助する態度とスキルには個人差があるのも事実です。そこで「心理に強い教師」(教育相談担当、養護教諭など)が学校生活で苦戦している子どもを早期に発見し、援助することが望ましいのです。

 第四に、SCなど心理的支援の専門家です。「専門的ヘルパー」と言えます。不登校やいじめ、発達障害による困難などは、教育の専門性だけでは解決できない問題があります。そこで教員がSC(心理)やスクールソーシャルワーカー(福祉)と連携して、子どもの苦戦を総合的に把握して、チームで援助することが必要になるのです。

 チーム学校では、友人同士が助け合えるスキルと風土の醸成、子どもを援助する保護者の安心感の支援、教師の援助する態度とスキルの向上、そして「心理に強い教師」とスクールカウンセラーらの活用が課題です(石隈・家近,2021)。

 

参考文献

石隈利紀・家近早苗(2021)『スクールカウンセリングのこれから』創元社

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