東京成徳大学応用心理学部特任教授
子どもと大人(教職員)が関わりながら、「学校コミュニティー」ができていきます。学校では子どもの学習面、心理・社会面、進路・キャリア面、健康面など、学校生活全体に関して援助サービスが行われます。今日、不登校、いじめ、発達障害、支援を要する家庭など困難な課題に関しては、学校だけでできる援助には限りがあり、「学校・家庭・地域の援助資源」の連携が必須です。「教師は何でもできる、学校は何でもできる」という信念からの解放が求められます。
チーム学校における「マネジメント委員会」「コーディネーション委員会」「個別の援助チーム」の3層の援助チームモデルが、学校心理学で提唱されています。今回はこの3層の援助チームで、心理に強い教師をどう活用するかについて述べます。
心理に強い教師は、子どもの発達や行動に関する心理学の知識と学校教育の基盤を持ち、アセスメント、カウンセリング、コンサルテーション、コーディネーションなどの心理教育的援助サービスの方法を身に付けている教師です。今回は、心理に強い教師をどう育てるかについて述べます。
全ての子どもの学校生活の支援において、全ての教師、心理に強い教師、学校教育に強い心理職(スクールカウンセラー:SC)の連携が鍵になります。では、心理に強い教師に求められる資質能力とはどのようなものでしょうか。
学校心理学では、三段階の心理教育的援助サービスのモデルを提唱しています。この三階建ての支援モデルと心理に強い先生の役割を紹介します。
チーム学校では、子どもの「学校生活の質」の維持向上を職業として支えるヘルパーである全ての教師、心理に強い教師、心理職としてスクールカウンセラー(SC)の連携が鍵を握ります。
子どもは発達する過程で、自分で努力したり、工夫したりします。困ったり、悩んだりもします。苦戦することもあります。子どもの苦戦は「自助」のプロセスと言えますし、成長につながります。 しかし、自分だけでは解決できない苦戦に出合うことも、しばしばあります。
2015年、中教審から児童生徒が変化の激しい社会で生きていくための資質能力を獲得するために、学習指導、生徒指導、特別支援教育などを充実させることを示した「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(答申)が出されました。それ以降、「チームとしての学校(チーム学校)」が文部科学省の施策の大きな柱となっています。本稿では「生徒指導提要」で示された図を用いて、チーム学校について説明します。
多くの子どもが学校生活で苦戦しています。2022年度は、不登校の小中学生が約29万9千人(3.2%)となりました。「不登校」は学校に通っていないという状態を指す用語で、病気や障害の用語ではありません。スクールソーシャルワーカー(SSW)の経験が長い鈴木庸裕氏(2002)は、不登校の状態にある子どもを「在宅児童生徒」と言っています。不登校の状態は一人一人違います。
全ての子どもが発達する過程で、多くの大人の援助を必要としています。アフリカには「子どもを育てるには一つの村が必要だ」という有名な格言があります。日本でも「チーム学校」という方針が、行政の大きな柱となっています(文部科学省,2015)。
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