チーム学校では、子どもの「学校生活の質」の維持向上を職業として支えるヘルパーである全ての教師、心理に強い教師、心理職としてスクールカウンセラー(SC)の連携が鍵を握ります。
第1に心理に強い教師は、校務分掌から見つけることができます。日本の学校では、全ての教師が学習指導、生徒指導など、学校生活の全体において、子どもに関わることが期待されます。そして、学校運営のための「校務分掌」は緩やかな分業であり、教務部、生徒指導部、進路指導部、生徒会部などがあります。生徒指導部の中に教育相談委員会がある場合もあれば、教育相談部が独立して置かれている場合もあります。そして、生徒指導部・教育相談部、進路指導部の教師は、心理に強い教師として一人一人の子どもの学校生活に関わる課題(不登校やいじめなど)の援助の中心になることが期待されます。実際、私も神奈川県や福島県などの教育相談コーディネーターの研修を長年担当していますが、先生方は熱心に心理教育的援助サービスについて学んでいます。また、校務分掌での事例検討で、苦戦している子どもについて学ぶ機会も多くあります。
第2に、養護教諭や特別支援教育担当の教師は、職業的な専門性から子どもの援助に関わる、心理に強い教師です。養護教諭は心身の健康の専門家であり、特別支援教育では特別な教育ニーズのある子どもを対象として、個別の指導計画、個別の教育支援計画を作成して実施する専門家です。不登校や発達障害による学習や行動面で苦戦している子どもの援助チームでは、養護教諭や特別支援教育担当の教師が、心理に強い教師としてリーダーシップを発揮しています。特別支援学校では、教育相談担当の教師が、地域の小中学校などの子どもの発達に関する援助を行っています。
第3に子どもの学校生活の苦戦の援助に関わる資格を獲得している教師も、心理に強い教師と言えます。例えば、心理教育的援助サービスの専門家である「学校心理士」は大学院修了者の資格ですが、教育相談、特別支援教育などを5年以上経験した教師も資格試験(学校心理学に関する筆記試験、子どもの援助に関するケースレポート)を受けることができます。同様に、特別支援教育士、ガイダンスカウンセラーなどの資格、臨床心理士、公認心理師などの心理職に関する資格を持つ教師がいます。公認心理師は国家資格で、他は民間の資格です。学校心理士などの資格を持つ「心理に強い教師」を校務分掌で積極的に活用し、養護教諭や特別支援教育担当の教師も含めて、子どもの学校生活の援助に関する継続的な研修機会の提供が必要です。