第7回 心理に強い教師に求められる資質能力

第7回 心理に強い教師に求められる資質能力
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 全ての子どもの学校生活の支援において、全ての教師、心理に強い教師、学校教育に強い心理職(スクールカウンセラー:SC)の連携が鍵になります。では、心理に強い教師に求められる資質能力とはどのようなものでしょうか。

 本稿では「心理に強い教師」(生徒指導・教育相談担当、特別支援教育担当、養護教諭など)について、心理学の知識があり、心理教育的援助サービスに強い教師と定義しています。心理に強い教師とSCに共通する知識や技能の枠組みを提供する学校心理学(石隈・家近,2011)は、①子どもの発達、学習、行動に関する心理学②心理教育的援助サービスの方法③学校教育の基盤――の3つの柱から構成されます。

 ①の心理学には、発達心理学、教授・学習心理学、社会心理学、臨床心理学などが含まれます。②の援助サービスには、アセスメント、カウンセリング、コンサルテーション、コーディネーションなどが含まれます。③の学校教育の基盤は全ての教師に求められるものであり、SCも学ぶ内容です。ここでは、心理に強い教師に求められる援助サービスの能力について説明します。

 アセスメントについては、学級・学校における一次的援助サービス(安全・安心の学級づくり・学校づくり)についての情報収集と整理、子どものSOSの発見と二次的援助のニーズの把握などの能力があげられます。子どもや学級の日常を観察する力が鍵です。三次的援助では、SCが「WISC-V」「KABC-Ⅱ」などの知能検査結果の解釈を行いますが、検査結果から実践可能な援助サービスを提案する段階では心理に強い教師に出番があります。

 子どもへのカウンセリングでは、休み始めた子どもや転校生、別室登校の子どもとの「面談」(二次的援助、三次的援助)の能力などがあります。「面談」はSCの「面接」と共通するところもありますが、日常の学校生活上の困り事に焦点を当てた助言・提案も重要となります。

 教師や保護者へのコンサルテーションとしては、生徒指導部会・教育相談部会、個別の援助チームなどで、子どもの状況に関する情報の整理と援助サービスに関する提案などの能力が求められます。心理に強い教師には、担当の教師のキャパシティーや学級の様子を含めて援助サービスの提案が実践可能かどうかの検討が期待されます。そして、コーディネーションの能力が重要です。特に大切なのは二次的援助、三次的援助におけるチームで、担任、部活動顧問、管理職、SCなどの援助者の役割や専門性から、援助サービスのコーディネーションを行う能力です。もちろん、コーディネーションの実践には一定の役割権限も必要です。「心理に強い教師」の資質能力については、全ての教師、SCとの役割分担を含めてさらなる検討が必要です。

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