第9回 チーム学校における心理に強い教師の活用

第9回 チーム学校における心理に強い教師の活用
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 チーム学校における「マネジメント委員会」「コーディネーション委員会」「個別の援助チーム」の3層の援助チームモデルが、学校心理学で提唱されています(図参照)。今回はこの3層の援助チームで、心理に強い教師をどう活用するかについて述べます。

3層の援助チーム(石隈・家近,2021)
3層の援助チーム(石隈・家近,2021)

 第1に、マネジメント委員会は企画委員会、運営委員会などと呼ばれるもので、校長、教頭、主幹教諭などから構成されます。生徒指導部会などの校務分掌やスクールカウンセラー(SC)の採用など人事面、いじめ対応など危機対応も含めて、学校教育全体のマネジメントに関する意思決定を行います。マネジメント委員会のメンバーである生徒指導主事には、生徒指導の経験があり研修を積んでいる心理に強い教師を充てることが、チーム学校における子どもの支援の鍵を握ります。もちろん、管理職である校長・教頭(副校長)も、学校心理学など心理教育的援助サービスについて学んでおくことが求められます。

 第2に、コーディネーション委員会は生徒指導部会などであり、生徒指導主事、教育相談コーディネーター、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、教頭などから構成される「コーディネーター・チーム」です。子どもの学校生活の支援のコーディネーションを行います。心理に強い教師が、チームの中心となることが求められます。昨今はコーディネーション委員会にSCが参加するケースが増えており、苦戦する子どもの事例検討が充実してきています。また、初めて生徒指導などの担当となる教師にとっては、貴重な研修の場ともなります。校務分掌の担当は変わっていきますので、各部会に必ず心理に強い教師を複数名配置して、子どもの支援機能を維持する必要があります。さらには、コーディネーション委員会のメンバーが、継続的に生徒指導、教育相談、特別支援教育などの研修を受ける機会を持てるようにすることが、援助サービスの質の維持向上に欠かせません。

 第3に、一人一人の子どもへの個別の援助チームです。不登校、いじめ、発達障害など子どもの苦戦に関する援助チームで、担任教師、保護者の他に、コーディネーション委員会のメンバーなど心理に強い教師が参加することが望まれます。子どもの苦戦の状況によっては、SCが入ることも必要となります。個別の援助チームの進捗(しんちょく)状況はコーディネーション委員会に報告し、助言を受けます。

 心理に強い教師は、チーム学校おける3層の援助チームをつなぐキーパーソンとなります。個別の援助チームやコーディネーション委員会における良き実践例をマネジメント委員会に報告し、学校の援助サービスのシステムとして継続することもできるのです。

参考文献

石隈利紀・家近早苗(2021)『スクールカウンセリングのこれから』創元社

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