前回は、管理職の先生との関わりについて考えてみました。今回は、若年層の先生方との関わりについて考えてみたいと思います。
私自身、2年目になった瞬間に「後輩」ができました。それから毎年のように「自校の若手」が増えました。しかし、私自身が年齢を重ねても、若年層の先生方との関わり方は変わっていません。そのキーワードが「憧れ」です。自分で言うのも恥ずかしい話ですが、いつでも「憧れられる先輩でありたい」との願いを持って生きています。
なぜなら、私がここまで頑張って来られたのも、憧れた先輩方がたくさんいたからです。「憧れさせてくれた先輩」が私をここまで連れてきてくれたと言っても過言ではありません。例えば、かばんを持たず、財布と鍵と携帯だけをポケットに入れて出勤・退勤するミニマリストな先輩。定時退勤をして、毎日明るいうちからビールを飲む先輩。キレッキレの提案で多くの職員を魅了する先輩。柔らかな人当たりで、職員室の誰とでも良好な関係を築いていく先輩。大きなセミナーで何時間も話し続ける先輩…。
プライベートから職場、学びの場など、さまざまな場で多くの先輩方に憧れてきました。「いつか、ああなりたい」そんな憧れが、明日の活力となり、今日の元気となっていたのです。そして、「いつか、超えてみたい」と健全に野心を抱くようにもなりました。
私は、若年層の先生方に「何かを教える」ようなことはできません。というよりも、たいていのことは調べれば答えが見つかるような時代にもなりました。それに、私が知らなくても、職員の「誰か」は知っているはずです。それは、「ミドルリーダー」がしなくてもよい仕事かもしれません(もちろん、一同僚としてしてあげた方がよいことはしてあげますが)。
ミドルリーダーがすべきことは、若年層の先生方に10年後の姿をイメージさせてあげることや、ちょっと先の目標となってあげることではないかと考えています。若かりし頃の私がそうだったように、カッコいい先輩、しなやかな先輩、軽やかな先輩としての背中を見ることこそ、若年層の先生方にとって最大の学びではないでしょうか。
何かを教え、直接的にアプローチするというよりは、働き方や振る舞いを通して間接的に示すことこそ、ミドルリーダーとしての関わりの肝となるポイントだと考えます。
若年層の育成が叫ばれ、急がれていますが、それは同時に「憧れの対象」としてのミドルリーダーの減少を意味しているのではないかと考えています。若年層が憧れるミドルが増えれば、おのずと若手育成が進んだり、現場を離れる先生が減ったりするのではないでしょうか。