最大の難関・集団討論のポイントは 取り組みの基本を押さえる

最大の難関・集団討論のポイントは 取り組みの基本を押さえる
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 集団討論対策を最終チェックの一つとして紹介しよう。集団討論は、採用試験の中でも採点配分が高いともいわれており、できるだけ適切に対応したい。そこで、集団討論に対する不安解消のため、これだけは押さえておきたいポイントを見てみよう。

討論という社会的場面での対応を見る

 集団討論に対し、苦手意識や不安を抱えている受験者は少なくないだろう。集団討論は、多くの受験者が練習など準備がきちんとできていないと言ってもよい。テーマを設定したり、練習に参加する人数を集めたり、時間を設定したり、手間がかかるのである。

 集団討論は、学校という組織的な集団の中で、組織の一員として働くことができるかという資質を、討論という社会的場面(集団の場面)における話し合いを通して、見るために行う。そのために、「コミュニケーション能力」「協調性」「積極性」などを見極めることが狙いである。特に「傾聴力」「表現力」「発言力」の有無が問われる。個人面接以上に差が付きやすい重要な試験といえる。

 形式をみると、集団討論は、5~10人くらいの受験生が、車座あるいはアーチ状に座り、これに2~5人の面接官が対応する。時間は20~60分程度。冒頭、自己紹介をしたあと、討論のテーマが発表され、5~10分程度自分の考えをまとめる時間が与えられる。討論の司会進行は、面接官が務める場合と受験生に任せる場合とがある。まったく自由に討論させるケースも見られるし、集団面接に続いて討論をさせることもある。

 数年前のある自治体の集団討論は次のように行われた。

[実施方法]

 ・面接官3人、受験者5人(講師経験者と学生の混合)。

 ・テーマが示されたあと、各自2分間考える。考えのまとまった人から挙手し、90秒以内に自分の考えと具体策を述べる(発言中でも90秒で切られる)。

表現力、説得力、調整力、協調性を判断

 主な評価の観点は、「広い識見と専門性」「対応力」「社会人としての資質や人柄・心身の健康」などである。

 また、主な評価基準は次の通りである。

 ▽表現力=自分の考えを簡潔に整理して、相手に分かりやすく述べている

 ▽説得力=広い視野から考え、豊かな語彙を用い、客観的で説得力がある

 ▽調整力=議題を整理し、新たな視点を提示して効果的な発言をしている

 ▽協調性=他の人の考えを傾聴しながら、質問に対して誠実に答えている

討論は「互いの意見を尊重」が基本

 討論には、実際にどう取り組めばよいのか。基本的な取り組み方は次の通りだが、これらを会得した上で各自の特徴を出してもよいだろう。

[討論への取り組み方]

 ▽テーマの意図を明確に把握分析し、自分の論点をしっかり持って述べる

 ▽意見は簡潔・論理的・多面的に、そして具体例も挙げながら述べる。意見を述べる時間は1分以内、という自治体も多い

 ▽互いの意見を尊重し、その意見を比較検討しながら、要所要所でまとめていく発言をする。さらに結論を導き出す方向で意見を述べる

 ▽他の受験者の意見をしっかり聞きながら、よい意見だと思ったら評価し、自分の考えを付加して話し合いが、発展するように述べる

 ▽どのような質問に対しても、常に冷静で誠実な受け答えをする

 ▽自分の意見と異なったり、反論されたりした時、「私は○○と思うのですが、いかがでしょうか」とソフトな言い方をする。同じ意見の時には「Aさんのおっしゃるように、私も○○と思います」、追加するときは「Aさんのおっしゃることと似ているのですが、さらに□□を新たな提案として付け加えたいと思います」などと述べる

 ポイントは、討論の中で、(1)課題の焦点化(2)課題の深化(3)課題解決策への道筋(収束への転換)――の流れを意識して、話し合いの方向付けを促していくことが重要である。

 テーマに対して、まず各自で課題の構造をしっかり把握し分析する。次いで、討論が始まったら、討論の中で課題の焦点化、課題の深化、課題解決の対策、解決策のまとめなどと論を進めていかなくてはならない。かなり高度な作業でもあるので、これからでも遅くないので、しっかりと事前の練習をしよう。

討論として必要な基礎知識を習得しておく

 討論するわけであるから学校教育に関する基礎知識を習得しておく必要がある。討論の際は、教職実習や臨採などで得られた基礎知識や体験を総動員して立ち向かわなくてはならない。

 例えば、学習指導がテーマの軸であれば、「学習過程の質的改善」「よい授業のための必要条件」「振り返りの大切さ」「机間指導の基本的な在り方」「板書の役割」「教科書、教材の使い方」「ITの導入」などについて語れるようにしておきたい。

 教育実習では、先輩教員の授業を参観したと思う。その授業風景、指導の実際など思い出し、それを参考として発言していく。授業には課題がつきものであり、それを改善するための対策が必要となる。その対策を導き出す過程、それをどのように実行していくかなど説明できるようにする。主要な課題については自信を持って話せるようにしておく。自分が行った研究授業、参観した先輩の授業などのポイントをまとめておき、そこから課題解決策を導き出していけばよい。

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