第6回 ミドルリーダーの学年経営

第6回 ミドルリーダーの学年経営
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 前回は、若年層の先生との関わり(育成)について考えてみました。今回は、学年経営について考えてみたいと思います。

 私は29歳で初めて学年主任を経験しました。当時、6年生を担任していました。翌年は、途中で病休に入ってしまった学年主任の代行で、年度の途中から学年主任となりました。単学級のため、自動的に学年主任となってしまう経験もしました。ただ、割合で言えば学年主任を任されることはさほど多くはありませんでした。

 本連載は「ミドルリーダーの思考術」ですので(さまざまなケースが考えられますが)、①学年主任の場合②学年主任ではないが学年団に後輩がいる場合――という想定で話を進めます。

 まず、学年主任の場合のポイントは、目的を示す役割が学年主任、目標を設定するのは学年団全員、手段を考える役割が後輩などと「役割分担を決める」ことです。これまで、「任せる」という言葉を使いながら若手に「丸投げ」というケースを数多く見てきました。また、「これでいくから」と、「目的共有」がされないままに「手段」だけが予定調和的に進む学年もありそうです。

 そうではなく、「こういう子どもたちを育てたいから、この目的で行こう」と、学年主任から明確に指針を示す必要があります。その上で、それに合った方法を後輩が考えるとよいでしょう。「手段は問わないが目的は達成せよ」というミッションを課すということです。

 そうすることで、学年団のボトムアップを図ることができ、学年団全体の力が高まります。学年主任は、出された手段で目的を達成すると決めて進むのです。

 次に、学年主任と後輩の間に位置する場合のポイントです。キーワードは、「振れ幅」です。

 ミドル層になれば、それなりに経験を積んでいます。がっつり取り組んだ経験もあれば、手の抜き方も知っているでしょう。軽重をつけながら、スマートに仕事を進められるはずです。また、学年主任が言いたいことや、目的とする方向も見えていると思います。若手よりも高い解像度で理解しているはずです。

 だからこそ、振り切った仕事をしてみたり、思い切って手を抜いてみたりするなど、その仕事ぶりの「振れ幅」を見せてあげるようにします。すると、後輩もバランスを見ながら自分なりに仕事を取捨選択し始めるようになります。「こうするよ」「こういうもんだ」などという一面的な姿だけではなく、後輩が選択できるように多様な働き方を示してあげるとよいでしょう。

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