第8回 ミドルリーダーの授業づくり

第8回 ミドルリーダーの授業づくり
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 前回は、学級経営について考えてみました。「良い別れ方」をする前提で学級経営をすれば、きっと毎日が宝物のように見えるはずです。今回は、ミドルリーダーの「授業づくり」について考えてみたいと思います。

 結論から申し上げますと、「20分の授業をつくること」がミドルリーダーに必要な授業づくりではないかと考えています。その根拠として、私が講師時代に経験した複式学級での「わたり」の経験があります。

 複式学級では、一つの空間に2つの学年が存在しています。当時の私は、言葉の通り右も左も分からない状態でした。他の先生の授業を見せていただきながら、どうやって2冊の教科書を45分で教えるかを考えていたのです。

 試行錯誤の末、1年が終わる頃にはその「芸」を磨くことができました。端的に言えば、一つの学年の授業を20分で終えることが可能になったのです。

 しかし、新規採用となり、初めて学級担任になった私は困りました。授業時間が余ってしまうからです。2つの教科書を45分に収めていた経験が裏目に出てしまったと思いました。

 でも、今ならその授業を推奨したいと思えます。20分で授業が可能なら、25分の余白があると捉えられるからです。20分間教え、25分間考える授業が構成できるからです。

 例えば、その余白をしっかり読み込む時間に使ったり、黙って粘る時間を確保したり、友達と議論する時間に当てたり、習熟や探究に向かう時間にしたりできます。

 45分を45分で計画しているから、振り返りに至らなかったり、練習問題をカットしたりするような授業になってしまうのです。単元が予定通り終わらず、学期末に慌てて進めるような展開が待っているのです。

 もし、あなたが何らかのリーダーシップを発揮するようなミドルなら、管理職と太くつながるハブなら、学年主任になったり若手に憧れられたりする立場なら、その授業はきっと学校全体に影響するレベルだと捉えてください。見本、手本、モデルになり得ると捉えてください。

 そうであるならば、ぜひ「20+25」の授業をつくりましょう。余白があり、教師の教え込みは最小限にとどめ、子どもの活動がメインになるように設計してください。突き詰めた先には、きっと個別最適な学びや協働的な学び、合理的配慮といったあらゆる要素を網羅した授業づくりが実現するはずです。

 余談ですが、「40分授業」にするという情報が昨年度の秋から冬にかけて流れました。しかし、そもそも「余白の大きい」「自由度の高い」授業をしてきた先生方は動じなかったのではないかと想像します。そうしたどんと構える姿勢も、きっとミドルリーダーに必要な要素なのかもしれません。

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