本連載も残り2回となりました。最終回を前にもう一つ、ミドルリーダーとして必要な考え方について述べておきたいと思います。それは「学校に風を吹かせる」という視点です。着任2~3校目であれば、きっと最低でも5年程度はその学校に勤めることになるでしょう。その勤務期間の中で、大きく影響を与えていきたいということです。
私たちは、毎日のように授業をします。でもそれは、45分の講義を淡々とこなしていくような業務的なものではありません。人が営む教育行為が授業そのものです。
若年層やベテランとのやりとりも欠かせません。時にリードし、時に任せ、バランス感覚を大切に毎日を過ごしていきます。それは、AIには取って代わることのできない感覚的な仕事です。行事も、もしかしたら「ありき」で始まる指導が多いかもしれませんが、そこに魂を吹き込み、目的論に立ち、「あなた」だからこそできる行事にしていくことが大切です。
誰もができる仕事なら、「ミドルリーダー」という言葉自体がなくなってしまうでしょう。そんなパッケージングされるような行事なら、もはや風化したも同然です。任された提案には、何かを「決断」し、断つことが求められるはずです。いわゆる「スクラップ」が極めて重要になります。ミドルリーダーは、こうした日々に新鮮さを見いだし続け、健全な新陳代謝を学校に促すことのできる存在であると考えています。
もちろん、多忙な毎日に埋没してしまいそうになると、例年踏襲が吉、流れに身を任せた方が楽、郷に従え…と、無意識に思考が持っていかれることもあります。そんな時、決まって学校には風が吹きません。どんよりとした停滞する毎日が待っているだけです。
学校に風を吹かせるのは、容易なことではありません。しかし、チャレンジングな姿勢を持ち続けているミドルリーダーは、どこかエネルギッシュであることも私は知っています。
若手が憧れるのも、管理職と太いパイプでつながるのも、そうして人と人とがチームになっていくとき、きっとミドルリーダーの風が吹いているのです。
具体的に何をしたら風が吹くのかという部分には言及しません。「自分は風を吹かせているだろうか?」と自問自答したとき、そこに小さく風が吹き始めます。まずは自分の内側に風を吹かせてみましょう。