最終回は、ミドルリーダーへのエールをお届けして締めくくります。いつの頃からでしょうか。私自身に「力がある」とか「仕事ができる」といった言葉がついて回るようになりました。全く自覚のない言葉が独り歩きし、いつの間にか「ミドルリーダー」などと呼ばれるようになりました。心の準備ができないまま足を突っ込んでいる。それがミドルリーダーというものでした。
逆に、「今日からミドルリーダーね」「今日が若手最終日ね」と言われることもありませんでしたが、気付いたらそうなっている事実はなかなか受け止め切れるものではありませんでした。
もしかしたら「勝手に」「そういう年齢だから」「主任になってしまって」「ミドルリーダーと呼ばれている」のかもしれません。目を背けたい自分、受け入れられない自分、どこか他人事のようにしてしまいたい自分がいるはずです。もちろん、私もそうでした。
あるとき、「若手」という言葉に引っかかったことがありました。「若手なんだから」という言葉に違和感を覚えたのです。「じゃあ、若手の反対って何だろう」と考えると、パッと浮かんだのは「ベテラン」でした。
「ベテラン」とは、長年の経験や実績を持つ人物を指す言葉であり、その分野で豊富な経験を持つプロフェッショナルを指すそうです。つまり、「ベテラン=プロフェッショナル」の反対が「若手」なら、「若手=素人」と言っているようなものです。これは失礼極まりないと感じました。
するとおのずと「中堅・ミドルって?」と考えるわけです。私は「プロフェッショナルに向かっている途中の存在」と考えました。全ての経験を学びに変え、常に試行錯誤し、人との関わりの中でトライ&エラーを繰り返しながらも進み続ける人。そんな人こそ、ミドルリーダーなのだと思えました。
私が知っているかつてのミドルリーダーの先生方(若年層時代に見てきた、憧れの先生方)は、今まさに「ベテラン」の域に達し、学校現場で活躍されています。一生追い付けない「憧れ」そのものです。
私たちは今、そんなベテランの先生方の背中を追い掛けながら、きちんと「ミドル」の看板を引き継ぎ、背負わなければなりません。その看板は、ずっしり肩に圧し掛かっています。耐えなければならないことも多く、我慢を強いられることもあるでしょう。でも、きっと子どもたちはそんな先生の後ろ姿を見ています。その生き方は伝わります。教室に出るはずです。そんな逆風も追い風に変えて進む。大丈夫です。きっとうまくいきます。
そんなエールを送り、本連載を終了したいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。(おわり)