第10回 ミチムラ式漢字カード/触るグリフ

第10回 ミチムラ式漢字カード/触るグリフ
【協賛企画】
広 告

 漢字を覚える方法は一つではありません。漢字を書いて覚えるのが苦手な子のために、書かずに漢字を覚えられる教材を2つ紹介します。

 1つ目は、「ミチムラ式漢字カード」です。漢字をパーツの組み合わせと捉え、パーツを唱えて覚えます。例えば、「喜」であれば「じゅう、まめ、くち」というようにです。

ミチムラ式漢字カード 一般価格660円~1375円(学校・学級特別割引あり) かんじクラウド(株)
ミチムラ式漢字カード 一般価格660円~1375円(学校・学級特別割引あり) かんじクラウド(株)

 

 特筆すべきは、カードの端の二次元コードです。スマホをかざすと、漢字の成り立ちや用例が漢和辞典のようにいくつも書かれていて、漢字への興味につながる仕組みになっています。これが、後述するICTを活用した漢字学習の入り口となります。

 ミチムラ式漢字カードの考案者である道村静江さんは、元盲学校の教師です。漢字をパーツごとに覚える(実際は立体の形をなぞる)方法は、目の見えない子が漢字の形をイメージできるようにと編み出されました。漢字をパーツの組み合わせと捉えることで、漢字の成り立ちが分かるようになります。同時に漢字の持つ意味を理解し、言葉の世界を広げることにつながったと道村さんは話します。この学習法は、漢字の本質に触れるものです。漢字嫌いだった子どもたちがミチムラ式で学習したところ、漢字を楽しみながら覚えるようになりました。

 ミチムラ式漢字カードの進化版として端末にインストールして使うアプリ「ミチムラ式漢字eブック」があります。音声に従って、子どもが一人で興味のあるところから学べる構成です。

 書かずに覚える教材の2つ目は「触るグリフ」。特殊な製法で印刷された「盛り上がった文字」の形に触れながら文字を覚える「触読学習法」です。ディスレクシアの子(人)のために開発されました。開発者で言語聴覚士の宮﨑圭佑さんによると、ディスレクシアの子は文字の形や記憶に関する視覚認知過程の弱さが報告されており、文字の形に触れながら見ることで、文字の形がより認知しやすくなるといいます。

触るグリフ 触読版シート 6800円?12800円(セット内容によって異なります) (株)宮﨑言語療法室
触るグリフ 触読版シート 6800円?12800円(セット内容によって異なります) (株)宮﨑言語療法室

 

 触るグリフを使っている放課後等デイサービスの支援員に話を聞くと、読み書き困難な子が「触るグリフ」を一定期間使うことで、読み書きへのハードルが下がったそうです。

 漢字学習の方法を「書いて覚える」だけにしてしまうと、漢字の面白さは学べません。その子に合った学び方を選べるようになればと思います。

 今回で連載は最後となりました。多忙を極める先生方に少しでもお役に立てたとしたら幸いです。これまでお読みいただきありがとうございました。(おわり)

広 告
広 告