第9回 困っている保護者と関わるときのポイント

第9回 困っている保護者と関わるときのポイント
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 今回は、子どもの不登校・行き渋りで悩む保護者と出会ったときに、周りの大人は何をポイントにして関わればよいのかについて述べていきたいと思います。ポイントは「否定しないこと」、「私にできることはありますか」の姿勢、「関係性の継続と広がりをつくる」の3つです。

 1つ目の「否定・アドバイスをしない」については、当然のことのように思われがちですが、実際にいただく相談の中には「教頭に『あなたの子育ての仕方に問題があった』と言われた」「カウンセリングを受けたら『お母さん、あなたはもっと頑張らないと。弱音を吐いてはいられないよ』と言われた」「ママ友に話したら『私だったら無理やりにでも連れて行くけどね』と言われた」といったことも多くあります。子育ての仕方を否定することはもちろん良くないのですが、アドバイスのように見える言葉も親により大きな負担をかけることになり、相談から遠のく原因になります。アドバイスありきではなく、まずは傾聴することが大切です。じっくりと今の状況や気持ちを聴く時間が必要で、その上で求められたときにアドバイスをする、というのがよいでしょう。

 次のポイントは「私にできることはありますか」の姿勢です。子どもが不登校になると、周りから非難の声を浴びることが増え、物理的にも精神的にも孤立しがちです。気持ちに余裕がなくなると、アドバイスや押し付けのような言葉に対して、「怖い」という感情を持つことが増えます。相談を受けたら「私にできることはある?」と相手の望みを聞こうとする姿勢が大切です。もし「特にない」との返事がきたら「いつでも話は聞くから遠慮なく頼ってね」などと味方であることを伝えることができるとよいでしょう。皆さんも経験があると思いますが、つらいときは視界が狭くなり、他人を頼ることへのハードルがぐんと上がります。日常的に「頼ってもいいんだよ」と伝えておくことが大事なのです。

 そして最後に伝えたいのは、焦らずにじっくりと関係性を築いていくことです。支える側も、相談者に早く元気になってほしいがため、焦っていろいろな提案をしたり、頻繁に会えるように連絡したりしがちです。でも、支援者に焦りは禁物。困っている本人のペースに合わせて進めていかないと、本人の気持ちが追い付かなくなり、よりふさぎ込んでしまうこともあるからです。

 一方で、相談を受けた側もどうしてよいか分からず心配になることもあります。そのため、相談を受けた側も、専門家や知見を持った支援者とつながっておくことが大事です。「点」ではなく「面」で支えていくのです。一人の支えでなんとかしようとするのではなく、複数人の連携の中で一人を支えていくことが支援の鉄則です。

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