特定非営利活動法人キーデザイン代表理事
私は大勢の不登校の子どもたちや親御さん、それに関わる大人とコミュニケーションを取ってきて、この社会は学校依存にあると強く感じています。学校という文化は元々「寺子屋」から始まっています。寺子屋は19世紀に入ってから急増しました。何十万年という歴史において、まだたったの200年程度です。
今回は、子どもの不登校・行き渋りで悩む保護者と出会ったときに、周りの大人は何をポイントにして関わればよいのかについて述べていきたいと思います。ポイントは「否定しないこと」、「私にできることはありますか」の姿勢、「関係性の継続と広がりをつくる」の3つです。
私たちはフリースクールを運営していますが、そこでは子どもたちと関わる上で大切にしている「12ヶ条」というものがあります。その一つに「唯一のルールは、ルールをつくらないこと」があるので、今回はそれについて紹介します。
「子どもには成功体験が大切」という話をよく聞きますが、私は逆だと思っています。子どもの頃にこそ、たくさんの失敗体験が必要です。もっと正確に言うと「大人が答えを示さず、子どもが失敗を繰り返しながら、周りのサポートを受けて自分で成功にたどり着く経験」です。
「家に子どもを一人置いていくことに罪悪感があるんです」 そんな声をいただくことが度々あります。 「子どもが不安定なのに親が放っておくなんて」 そんな声がどこからともなく飛んでくるような感覚にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
前回は、人を頼ることや休むことの大切さを子どもたちに伝えていきたいということを書きました。これは子どもだけでなく親も同じだと思います。
よく保護者の方から「この子は学校に行かないで将来自立できるのでしょうか」と相談を受けます。その子のことを思うからこその心配する気持ちです。自然なことだと思います。一方で私はその相談を受けるたびに、頭の中にはてなマークがたくさん浮かぶのです。「本当に不登校を経験すると自立できないのだろうか」と。
ある大学生が「教育とはなんであるか」について意見を聞きたいとフリースクールを訪問してくれたことがありました。不登校になる背景やフリースクールでの子どもたちの過ごし方を伝えた後、質問を受けました。「フリースクールでは学校のような『教育』は行われていないということですね」と。その学生さんにとっての教育とは何かを聞いてみると「学校の授業でやる数学とか」との答えが返ってきたので「私にとって教育とは、初めての出会いを一緒に楽しむことです」と伝えました。
私は不登校の子を持つ大勢の親御さんとやりとりをしてきました。「お母さんのほけんしつ」という約4000人の登録者がいる無料LINE相談窓口も運営しており、私だけでも1000人以上の親御さんの声を聞いてきて、気付いたことがあります。
私はこれまで約5年間、フリースクールを通して100人を超える不登校、行き渋りの子どもたちと関わってきました。一人一人がさまざまな背景によって不登校になっています。一般的に「不登校問題」と言われることが多いので、まるで不登校であることが問題であるかのように考えている方が多いと思いますが、実際には不登校は「結果」の状態であって、その裏側にはさまざまな生きづらさ、抱えているものがあるのです。
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