第2回 みんなが一緒に考えるために-「Kokuaにいがた」取り組み-

第2回 みんなが一緒に考えるために-「Kokuaにいがた」取り組み-
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 2021年6月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が参議院本会議にて全会一致で可決・成立した。この法律は、医療的ケア児を育てる家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止することを目的とし、子どもだけではなく家族にも着目されている。

 同年7月、医療的ケア児等家族会「Kokuaにいがた」の発起人となる小島千夏さんからご連絡をいただいた。「これまで母親として、子どもに医療的ケアがあることでさまざまな困難を経験し、仕方がないことと諦めてきたこともありました」と苦しい時間を過ごされてきたことを話された。そして、「医療的ケア児支援法が成立し、その内容について当事者としてしっかり把握したいです。同じ境遇にある医療的ケア児の保護者の方々とも情報を共有し、それぞれの地域で親も正しい知識を持って行政や医療・教育・福祉関係の方々との話し合いができるようになりたいです」と真っすぐに語られた。

 これを機に、8月には「医療的ケア児支援法を理解しようin新潟」という勉強会を特定非営利活動法人地域ケアさぽーと研究所理事の下川和洋先生と新潟県医療的ケア児支援センターにご協力をいただき開催した。全国からの参加者200人の質問には、「学校の先生と話をうまく進めるために大切なこと」や「相談しても誰も分からない状態で前に進まない。担当の人を応援する体制をつくれるか」などがあり、チームとしてお互いを尊重する姿勢や、医療的ケア児支援センターの役割を理解する場となった。

 その後、小島さんたちは、医療的ケア児だけでなく多様なハンディキャップを持つ子どもと親の会「Kokuaにいがた」を立ち上げ、子どもらしい時間が過ごせる場を定期的に設け活動するとともに、地域の課題解決に向けて意見交換を行ったり、議会に声を届けたりする活動を行っている。

 また、「Kokuaにいがた」では、23年5月に当事者ニーズを明らかにするために、医療的ケア児の日常生活に関するアンケートを実施した。回答22人中、約半数の母親が介助にかかりきりで、十分な睡眠も取れていない状況であった。利用したいが現有しない・利用できないサービスとして、①通学や移動の支援②放課後等デイサービス③短期入所--が挙げられた。これらのニーズは、親の就労希望とも関係しており、各種全国調査の結果と一致する。さらに、約8割が現状や将来への精神的な不安を感じているものの、相談できる特定の支援者がいない現状も明らかとなった。こうした状況を受け、新潟県内の家族会と連携し、一時預かり先の確保を求めて県議会に提出した請願が23年12月26日に採択され、今後の体制づくりに向けて動き出している。

 当事者を中心に置いた支援である「ファミリーセンタードケア」の理念が、医療の中でも重要視されている。「障がい児を育てているのだから仕方ない」という諦めと自責の念を親は抱く。医療的ケア児の育ちを支えるパートナーとして、適切な時期に関係機関の連携のつなぎ目(ノットワーク)を強めることが課題である。

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