第3回 昨今の学級経営を巡る現状と課題

第3回 昨今の学級経営を巡る現状と課題
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 前回は、「心理的安全性を高めるための4つの因子」について考えました。今回は、「昨今の学級経営を巡る現状と課題」について考えていきます。結論としては、「一人一人の子どもを、集団からの同調圧力や正解主義などから解放された状態にするためには、学級の心理的安全性を高めていくことが欠かせない」です。

 一般的には「他者の目を気にして自分の思いを十分に語り切れていない子どもの実態」が指摘されているところです。この課題の原因として、個人が感じる集団への安心感、信頼感の醸成が不十分であることなどが指摘されています。

 一方、2021(令和3)年1月に中教審が出した「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の答申では、従来の社会構造の中で行われてきた「正解主義」や「同調圧力」への偏りが課題として指摘されています。

 「正解主義」においては、日本の経済成長を支えるために、「みんなと同じことができる」など、上質で均質な労働者の育成が高度経済成長期までの社会の要請として学校教育に求められてきました。そうした中で、「正解(知識)の暗記」の比重が大きくなり、「自ら課題を見つけ、それを解決する力」を育成するため、他者と協働し、自ら考え抜く学びが十分なされていないのでないかとの指摘がありました。

 「同調圧力」については、学校では「みんなで同じことを、同じように」を過度に要求する面があり、学校生活においても「同調圧力」を感じる子どもが増えていったとの指摘がなされています。

 上述したような背景の中、学級崩壊、不登校の増加、重大ないじめ被害、教室マルトリートメント(子どもへの不適切な指導)による教師への不信感など、さらなる課題も生まれています。

 これらは、「学校での心理的安全性が確保できていないことの表れ」であると考えます。私を含む教師は、子どもたちのより良い成長を常に願っています。しかしながら、さまざまな個性を持った子どもたちへの関わりについては、日々悩み続けていることでしょう。

 だからこそ、心理的安全性の視点からどのようなマインド、どのような手だてで子どもたちに働き掛けるのか、今一度「学級経営」を見直すことが必要なのではないでしょうか。

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