第6回 AIで広がる学びの可能性 中学校での生成AI授業①

第6回 AIで広がる学びの可能性 中学校での生成AI授業①
【協賛企画】
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 みんなのコードでは2023年の10月から11月にかけて、日本女子大学附属中学校の3年生を対象に、技術・家庭科の技術分野の中で、計6時間にわたって生成AIの授業を行いました。授業の様子をご紹介する前に、なぜ女子校で授業実践を行ったのかを補足させてください。

 私たちは「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」というミッションを掲げ、情報教育にまつわるさまざまな格差を埋める取り組みを行っています。中でもテクノロジー分野は、理・工学分野における女子比率に偏りが見られ、初等中等教育段階から児童生徒の意識差が明らかになるなど、大きなジェンダーギャップが存在します。女子校では歴史的背景から家庭分野が重視されてきた経緯があり、技術分野の内容についてどのように指導を行っていけばよいか、複数の学校からお悩みを共有いただいていました。そこで、みんなのコードでは23年9月に、日本女子大学附属中学校と教科横断的な情報活用能力の育成に関する連携協定を締結しました。

 最初の1・2時間目では、「情報とは何か」、「コンピュータのしくみ」、そして「AIについて」学習しました。AI初学者である中学生に「AIは難しいもの」と思われないように、イラストが使われているCode.orgのWeb教材を用意し、「教師あり学習」と「教師なし学習」について学習しました。また、強化学習についても学びました。

 次の3・4時間目では、画像認識AIの活用とプログラミングに焦点を当てました。Teachable Machineを使い、画像を学習させた後、カメラで捉えたものを判別する活動を行いました。Teachable Machineは1・2時間目で学習した「教師あり学習」の実習を行う上で良い教材です。

生成AIを活用した授業の様子
生成AIを活用した授業の様子

 生徒たちは最初、ジャンケンのグー・チョキ・パーを覚え込ませて識別させていました。その後、画像認識AI(ML2Scratch)とScratchを組み合わせてプログラミングを行い、カメラ越しに生徒たちの手と勝負するジャンケンゲームを制作しました。ジャンケンゲームが完成した後は、より楽しいゲームになるように音楽をつけたりキャラクターを自作したりと、工夫を重ねていました。このように、生徒たちはAIのことを知識として知るだけでなく、それを活用した作品づくりを通して、深く理解していました。

(特定非営利活動法人みんなのコード 未来の学び探究部 講師・研究開発 千石 一朗)

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