前回は、「教師のツールキット」についてお伝えしました。今回は、子どもが話しやすくなる「毎日超簡易1on1」をご紹介します。これは「話しやすさ」の因子を高める手だてです。
ビジネスの世界では、上司と部下が1対1で個別に対話をすることを「1on1」と言います。学校教育の文脈で考えてみると、先生と子どもが1対1で個別に会話することと捉えることができます。
ところで皆さんは、「毎日学級全員の子どもと関わりましょう」と言われたことはありますか?私は若い頃によく言われました。今では若手の先生に伝えることの一つでもあります。
とはいえ、本当に毎日学級全員の子どもと関わることができているでしょうか。「実際にどうやってよいか分からない」という悩みもよく聞きます。
そこで今回提案したいのが「毎日超簡易1on1」なのです。私は毎日5回以上、学級の子どもたち一人一人と関わることを目標にしています。「毎日超簡易1on1」は、子どもとのやりとりが往復1回でよいと割り切って行います。例えば、子どものあいさつに教師があいさつ返しをするなどです。
私が実際に行っている「毎日超簡易1on1」の場面は、以下の通りです。
①朝のあいさつ
②授業中の価値付け
③休み時間の遊び
この3つの場面に加え、給食の時間、掃除の時間などに意識して行えば、1人5回以上関わることができます。
①の朝のあいさつで言えば、例えば「〇〇さん、おはよう!今日も自分からあいさつできてすてき!」などと毎朝教室で子どもたちを出迎えます。子どものあいさつに返しつつ、一言加えます。
②の授業中の価値付けで言えば、例えば「どうしてそうしようと思ったの?(子どもの返答)なるほど、すごいね!」などと声を掛けています。全ての授業を通して、1人1回やりとりをすることは、決して難しいことではありません。
そして、③の休み時間の遊びこそ、コミュニケーションのチャンスです。外遊びも中遊びも一緒にやることで、いろいろな子どもと関わることができます。
大事なことは、何のために「毎日超簡易1on1」を行うのかです。私は、「子どもたちが少しでも話しやすくなれるように」と考えて行っています。単純に子どもたちとコミュニケーションを取ることが好きだという理由もありますけどね…。(笑)
やりとりは言葉だけではありません。表情やジェスチャーでも子どもたちにはしっかり伝わるものです。