第9回 AIと学ぶプログラミング学習の可能性

第9回 AIと学ぶプログラミング学習の可能性
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 文章生成AIは、人間が書くような自然な文章や会話を生成します。また、生成AIが登場した初期から、「プログラミング」にも有効であることが分かっていました。自然言語に比べて、プログラミング言語はより明確な文法規則で記述され、豊富な学習データもあるため、生成AIとの親和性が高いのです。

 特に高校の「テキストプログラミング言語」を扱う授業において、生成AIが活用できると考えています。「情報」のプログラミング授業では、エラーが発生すると生徒は先生に助けを求め、順番待ちの間はただ待つしかないという状況をよく目にします。

 みんなのコードが無償で提供している高校向けオンラインプログラミング教材「プログル情報」には、生成AIがエラーの説明と解決へのアドバイスをしてくれる「AIアシスト」という機能があります。生徒はこれを使って自分でエラーの意味を考え、プログラムを修正していくのです。

 もちろん、AIだけでプログラミング教育は完結しません。先生や生徒同士と対話しながら学ぶことが重要ですが、生徒の到達度の差が大きい学習の初期段階などは、生成AIの活用も有効ではないでしょうか。

生成AIを活用したプログラミング授業
生成AIを活用したプログラミング授業

 ある高校では、プログラミング授業の最終段階でグループによる自由課題がありました。そこで、3人1組で相談しながらプログラムを作成する際に、この「AIアシスト」機能を使いました。AIのヒントを見ながら「こうしたらいいんじゃない?」と話し合いながら作品を完成させていきました。

 また、プログラミング学習に手応えが得られず、興味を持てない生徒も一定数います。これまでの教員経験から、女子生徒に多く見受けられるように感じています。「つくりたいプログラム」があっても、文法を学ばなければ形にできず、達成感が得られないまま興味を失ってしまうのです。

 そうした生徒には、例えば生成AIを用いて「まずつくってみる」というやり方も考えられます。生成AIを使いながら自身が興味を持てるプログラムを実際に動かしつつ、自分のつくりたいものに近づけていくのです。こうしてAIを駆使することで、「プログラミングは自分には向いていない」などと思い込んでしまう一部の女子生徒も、楽しく学べるかもしれません。

 このように、生成AIはこれまでの学習の順序や在り方を変える可能性があります。プログラミングは文法を覚えることではなく「自分の考えを表現、実現する手段」です。生成AIとともにプログラミングを学ぶことで、生徒の意欲や創造性を高めたり、個々に合った学習過程が生まれたりすることが期待できます。

(特定非営利活動法人みんなのコード 未来の学び探究部 講師・研究開発 永野 直)

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