第7回 「先生、あのね」

第7回 「先生、あのね」
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 前回は、子どもが話しやすくなる「毎日超簡易1on1」についてお伝えしました。今回は、「助け合いを習慣付ける『先生、あのね』」を紹介します。これは「助け合い」の因子を高める手だてです。

 「先生、あのね」と言えば、日記の書き出しを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。今回の提案は、もちろん日記でも行えるものではありますが、直接の対話がメインの実践です。

 子どもたちの「助け合い」を習慣付けていくために大事なことは、たくさんあります。その中でも私は、特に「助け合いが生まれる仕掛けをつくる」「助け合いを価値付ける」の2つを意識しています。

 私は学期初めの自己紹介で、以下のようなことを必ず伝えます。

 「『友達がこんなこと頑張っていたよ』というお話が大好物です!」

 このように伝えておくと、毎日1~2人の子が話をしに来てくれます。この宣言自体が、子ども同士の助け合いを引き出す仕掛けになっているわけです。話に来ない日が続くなと感じたときは、「最近大好物が来ないんだよねえ…」と、子どもたちに正直に伝えます。すると、うれしそうに伝えに来てくれる子が必ずいます。これも「仕掛け」の一つです。いや、実際に大好物がないと寂しいんです。(笑)

 また、大好物の話について児童に伝え、価値付けることで、その児童自身も喜ぶわけです。時には、全体でその話を価値付けることもあります。

 例えば、以下のような対話を行っています。

 「先生、あのね。〇〇さんが算数の時間に教えてくれたんだ!」

 「それはうれしいね!どんなことを教えてくれたのか詳しく教えてくれる?(子どもの返答)教えてくれた〇〇さんもあなたも、助け合おうとする気持ちがすてきだね!」

 「仕掛けと価値付け」を繰り返し行うことで、子どもたちの助け合いは習慣化されていきます。大好物の話をしに来てくれた子どもに対して、「〇〇さん、教えてくれてありがとう!めっちゃうれしい!」などと伝えることで、教師に対する「話しやすさ」の因子も自然と高まっていきます。

 またこの時に、笑顔でうなずきながら話を聞くと、「先生はしっかり話を聞いてくれるなあ」という思いも生まれます。「話しやすさ」の因子を高めるとともに、この思い自体も助け合いにつながっていくものです。

 さらにこの実践を継続することの良さの一つは、「子どもが先生に言いに来る話=マイナスじゃなくてプラスの話」と、教師自身も感じられることだと思います。

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