前回は、「助け合いを習慣付ける『先生、あのね』」についてお伝えしました。今回は、挑戦・新奇歓迎が引き出される「デジタルポスト」について考えていきます。「挑戦」や「新奇歓迎」の因子を高める手だてです。
「デジタルポスト」とは、Microsoft Formsと連動したデジタル上で意見などを投稿できるシステムです。教室に二次元コードを掲載した疑似郵便ポストを設置したり、Microsoft TeamsのチャネルにURLを掲載したりして、いつでも子どもたちが投稿できるようにしています。
教師から提案した活用方法は、①学級会の議題②友達の良さ(頑張りや成長)――です。②はどちらかと言えば、「話しやすさ」や「助け合い」の因子を高めます。①については、これまでも「学級会提案カード」などと称してアナログでも行われてきたことだと思います。デジタルでもアナログでもそうですが、①は子どもの新しい視点や発想を後押しすることになり、「挑戦」「新奇歓迎」の因子を高めます。
デジタルポストのメリットは、「いつでもどこでも投稿できること」だと考えています。実践し始めた頃は、「挑戦」「新奇歓迎」が引き出されるとは考えていませんでした。学級の心理的安全性が高まってきた結果、さまざまなアイデアが投稿されるようになったのです。
画像は、実際に教室に置いてあるポストの二次元コードです。例えば、「クラスの仲がとても良くなってきたから、次のお楽しみ席替えは男女関係なく決めたい!」「給食の待っている時間にリクエストミュージックをやりたい。僕は『〇〇』という曲を流してほしいです」などの投稿がされています。もちろん、全てをそのまま受け入れるわけではないですが、対話を通してより良い形を探るようにしています。
上述した以外にも、「Canva(グラフィックデザインツール)で秋のクイズをしたい」「Kahoot!(クイズ大会を開けるアプリ)大会をしたい」などの提案がありました。
大切なことは、①挑戦(投稿)したことそのものを価値付けること、②一見「まとはずれ」のような内容でも歓迎することです。
提案についてその子と対話をしてみると、提案に至った思いやその背景がよく分かります。そこには、その子の強みや個性が見られることもあります。「デジタルポスト」からも児童理解が進むのです。