前回は、哲学対話を取り入れた道徳の授業と心理的安全性についてお伝えしました。ラストとなる今回は、「話助挑新を引き出す『Minecraft Education』の活用法」について述べていきます。
ものづくりゲームの一種であるMinecraftが、子どもたちの中で流行しています。ブロックなどの素材の組み合わせでオリジナルの世界を構築するなど、創意工夫をしてプログラミングしながら遊ぶことができるゲームです。一般的なゲームのように明確なルールやゴールがなく、人それぞれの楽しみ方があることも特徴の一つです。
これを、プログラミング教育や協働学習などの教材として使えるようにしたのが、「Minecraft Education」です。教師を含む学級全員で一つの世界を共有し、共同作業を行います。共同作業を通して協調性を身に付けながらプログラミング的思考を学ぶことのできる教材です。まさに「エデュテイメント」です。
ところで、下の画像は何だと思いますか?
この画像は、小学校第2学年生活科「町探検」の単元において、子どもたちが探検した学区の施設やお店を「Minecraft Education」内に再現したものです。画像内にある施設やお店は全て、子どもたちが互いに話し合い、助け合いながら作成したものです。実際には存在しない階段なども配置されていますが、お店を際立たせるための工夫として配置した子どもたちもいました。まさに「挑戦」であり、「面白いアイデア(新奇歓迎)」です。
このように、町探検ワールドを作成する過程では自然と「話助挑新」が引き出されます。また、結果としてこのワールドをもとに、他学級の児童や保護者、地域の人たちなどさまざまな人との対話も生まれます。
「Minecraft Education」を学習で活用しながら心理的安全性の高い学級をつくる場合、幾つかの留意点があります。私が子どもたちに特に意識してもらっていたマインドは、以下の3つです。
①いろいろとチャレンジしよう!失敗しても「ドンマイ!」
②どんどん相談しよう!話しながら作ることがベター!
③もし壊しちゃったら素直に「ごめんね」
実践する過程では、「トラブルが起きて当然!」という教師のマインドも大切になってきます。
全10回の連載を通して、私の実践の一端をご紹介しました。お読みいただいた皆さま、ありがとうございました。今後も学校教育に心理的安全性を浸透させていけるよう、精進してまいります。(おわり)