第9回 実践の過程で心掛けるべきこと

第9回 実践の過程で心掛けるべきこと
【協賛企画】
広 告

 前回は、概念型探究を続けてきた子どもたちの成長と変容についてお伝えしました。今回は、その過程でどのようなことを心掛けていくべきなのかについて考えていきましょう。概念型探究の単元に取り組んでいるときだけでなく、日頃の教育活動全般にわたって取り入れていくとより効果的です。

 一つは、関わりの中で学ぶ機会をできるだけ多く設定することです。クラスメートとの関わり、家族との関わり、地域の方々との関わり、異学級や異学年との関わりなど、多くの人の視点や考え方に触れることが、考えを深めたり広げたりすることを大きく助けてくれます。さらには、書物や作品からも他者の感じ方や価値観を吸収し、自分のアイデアをより豊かにできるようになると素晴らしいものがあります。集団で学ぶことの面白さや良さが際立つからこそ、学校教育の中で取り組むことに意味があるのではないでしょうか。

 次に、本質的なものの見方を養うことを念頭に置きながら、子どもたちの学習や言動に対してフィードバックしていくことが挙げられます。具体的な事実や事例に対して、「それって結局どういうことなの?」「そこから分かる重要なことには何があるかな?」というように問い掛けることで、より本質に近づいていくことができます。学習した事柄を各教科のものの見方・考え方に結び付けていくことも大切です。教え込むのではなく、自分一人だけでは目が向かないようなところへと意識を促すことで、子どもたちは自ら気が付いたり、意味を見いだしたりするようになります。

 そして、定期的な振り返りの機会を設定し、学習者が自分の成長や変容を自覚できるような設問を用意することも非常に重要です。自立した学習者になるためには、自己評価を適切にできるようになることが欠かせません。「何が変わったのか(できるようになったのか)」だけでなく、「なぜ、そうなったのか」という点にも目を向けることが必要です。A地点での記録とB地点での記録を客観的に比較し、その間に何が起こってその変化が生まれたのかを分析する上で、定期的な振り返りが大きな意味を持ちます。

 ただし、いつでも、何に対しても、やみくもに振り返りの時間を設ければよいということではありません。どのような気付きを得るための振り返りなのかという目的を明確にし、それに適した振り返りの内容を厳選していきましょう。

広 告
広 告