今、学級づくりが難しくなっています。その原因の一つが「GIGAスクール構想」です。この構想では、全ての子どもにタブレット端末を配布し、「個別最適な学び」を目指しています。確かに、端末の配布は子どもたちの学習の個別最適化を進める大きな一歩です。一方で、この変化を厄介なものだと感じている教師も少なくありません。
従来の日本の教育システムは、教師が全ての子どもを一律に指導することを前提にデザインされていました。しかし、タブレット端末が普及し、子どもたちの学びが個別化されることで、教師が全員を一律に指導することが難しくなってきています。この変化により、教師は子どもたちを管理することに難しさを感じ、さらに管理の手を厳しくしようとします。その結果、子どもたちとの関係が悪化し、学級が機能不全に陥るリスクが高まります。これが「令和型学級崩壊」です。
中教審は、「令和の日本型学校教育」の目標として、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現を掲げています。しかし、これはタブレット端末を教師の管理の下で使用させる従来の指導方法とは、なかなか相容れません。情報化と多様化、AIが圧倒的スピードで進展する現代では、従来の指導方法ではもはや太刀打ちできないと考えた方が自然なのかもしれません。
タブレット端末が配布され、子どもたちは多様な情報にアクセスできるようになりました。これに伴い、学びの内容や方法も多様化しています。個々の興味に応じた学びが可能になる一方で、全員が同じペースで学ぶことが難しくなっています。全員一律に教師の管理の下で端末を使わせてしまうことは教師にとって都合がいいかもしれませんが、これから必要とされる力が子どもたちに身に付きません。だからこそ、教師は一人一人に対して異なるアプローチが求められるのです。
「GIGAスクール構想」は、これまでの日本型教育の終わりの始まりを告げるものなのかもしれません。この流れはもう誰にも止めることができません。でも、従来の日本の教育が全て駄目だとは思っていません。先人たちが築いた知識、技術と新しい教育の在り方を組み合わせていくべきだと考えています。では、これからの教育で子どもたちにどんな資質や能力を育むべきなのでしょうか。次回はそのことについて考えてみます。