前回まで、①ウェルビーイング・ダイアログカード②ありがとうカード③ウェルビーイングな言葉集め――の実践を紹介してきました。今回紹介する実践は「マインドフルネス(瞑想)」です。
僕は朝の会と帰りの会に、1分間の「瞑想タイム」を設定しています。1分間、自分自身の呼吸に集中し、今この瞬間を感じる。このような活動を継続して行っています。
瞑想は子どもたちの心を落ち着かせ、ありのままの自分自身と向き合う上で非常に有効な活動です。子どもたちにも、「集中力が上がる」「ストレスが軽くなる」とその効果について説明しています。5年生の保健「心の健康」の学習の一環として、教科書にも紹介されています。
瞑想の時間を設けることで、子どもたちは日常の喧騒から離れ、自己の内面に集中することができます。1分間、目を閉じて深い呼吸を繰り返す。ただこれだけの活動ですが、やってみると意外に難しいことが分かります。どうしても、違うことを考えてしまったり、周りの声が気になってしまったりします。
心をリセットし、リラックスした状態をつくることで、授業に集中しやすくなったり、今ここにいる自分の心の状態に気付いたりできます。また、疲れを癒やすこともできます。
こうして自分自身を整える時間が必要なのは、大人も同じです。われわれ教師にとっても、自分の心の状態を知ることは重要な意味を持ちます。なぜなら、教師が自分の感情をコントロールできなければ、子どもとより良い関係を築けないからです。
社会的な関係上、子どもたちは先生の言うことをたいていは聞きます。ただ、そこに共感や信頼がなければ子どもたちの心は簡単に離れていってしまいます。僕が若い頃に感じた「言うことは聞いてくれるけど、心が離れている状態」になったときほどやりづらいことはありません。
まずは教師自身が自分をコントロールして子どもたちの前に立たなければ、より良いクラスはできません。生まれて10年くらいしかたっていない子どもたちが何人も集まっているわけですから、うまくいかないことの方が多いと考えるのが当然です。自分自身を、そして自分が受け持つクラスを、冷静かつ客観的に見なければなりません。そのためにも、教師自身が自分をコントロールするすべを身に付けることが重要だと思います。
ぜひ、子どもたちと一緒に心を整え、ご機嫌な気持ちで子どもと向き合ってください。そうすれば、不思議と子どもたちもご機嫌になります。
次回は、ウェルビーイングな職員室をつくるための取り組みをお伝えします。