第6回 教師と子どもたちとの寛容さで築く学級の緩やかな秩序

第6回 教師と子どもたちとの寛容さで築く学級の緩やかな秩序
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 今回は「秩序」を醸成するために大切にしている4つのポイントを紹介します。

 1つ目ですが、私は新学期から毎週席替えを実施し、ペアやグループで楽しめるレクリエーションをたくさん行っています。授業中もペアトークやグループでの話し合いを積極的に取り入れています。でも、参加が難しい子どもには無理はさせません。その際、「無視」や「放置」と「寛容」は違うことを子どもたちには伝えます。

 2つ目として、私は日直や当番制度を設けていません。子どもたちの主体性と寛容さを育てるためです。日直や当番活動があると、その仕事が「自分とは関係ない」と他の子どもたちが思うことがあります。その結果、学級を主体的に良くしようとする態度が育ちにくくなります。また、仕事をしていない子どもを過度に責めることにもつながりかねません。子どもの場合、うっかり仕事を忘れているだけのことも多いのです。

 注意は原則教師が行い、他の子どもたちには「まあ、ええやん。気付いた人がフォローしてあげよう」と声を掛けます。そうすることで寛容さが育ち、誰かが仕事を忘れても「まあ、ええやん。やっとくわ!」という姿勢が子どもたちに生まれます。こうした行動をとってくれた子どもにはねぎらいの言葉を掛け、その行動を学級全体に共有します。仕事を忘れた子には「次は頼むで」と優しく声を掛けます。そうして声を掛け続けてもなかなか変わりませんが、そこはのんびりと待ちます。ただし、給食当番や掃除当番は状況を見極めながら継続するかどうか判断します。

 3つ目は、独特な感性を持っている子どもやおとなしい子どもへの対応です。そういった子どもは学級内で浮いてしまうことがよくあるので、スポットライトを当てます。場の空気が冷めるような発言でも、「めっちゃ面白いな!」と教師が面白がるだけで、子どもたちのその子への接し方ががらっと変わります。ただし、「いじり」につながらないように細心の注意は必要です。おとなしい子どもも観察すれば、「折り紙が得意」など良いところは必ずあります。それを学級全体に共有することで、その子は一目置かれるようになります。

 最後に4つ目として、これらの取り組みに一本軸を通すため、教師の「語り」と「リフレクション」は欠かしません。同調圧力、寛容さ、多様性についてなど、何か実践をする前には「語り」を行い、実践の後には「リフレクション」を行います。こうしたことを繰り返すことで、学級に「秩序」や「心理的安全性」が醸成されると考えています。

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