子どもたちが主体的に学ぶためには、興味や関心を引き出し、「楽しい」と感じさせることが重要です。しかし、現実には授業中に退屈そうにしている子どもたちも少なくありません。授業が楽しくなければ、学ぶこと自体が楽しくないと感じるようになってしまいます。
例えば、小さな子どもが誰かに強制されることなく、夢中で絵本や図鑑を読む姿を思い浮かべてください。これは自然と学びを楽しんでいる状況です。しかし、日本の多くの学校では、子どもたちの興味や関心よりも知識の詰め込みが優先されています。その結果、純粋な興味や関心が年齢とともに失われ、子どもたちは自分の学びのコントロールを無意識に放棄してしまうようになります。
「教師は教え導く存在」というマインドセットのままでは、子どもが主体的に学ぶようになることは難しいでしょう。だからこそ、教師は「教育環境デザイナー」として子どもたちの興味や関心を引き出し、彼ら自身で学びを進めていける環境をデザインすることが求められます。そのヒントは「遊び」にあります。私が実践している方法を3つ紹介します。
まず、「授業の行事化」です。これは坂本良晶氏(Canva Japan)が提唱したもので、友達や保護者、他校の子どもたちに成果を披露する場を設けます。2年生の生活科で行う「お店屋さんごっこ」や「子ども郵便局」をイメージすると分かりやすいでしょう。こうした実践によって「活動あって学びなし」になることが少なくなります。ごっこ遊びや競争、ものづくりなどの「遊び」の要素を取り入れた選択肢を幾つか提示し、選ばせることで、子どもたちが学びのコントロールをできるようになります。
次に、「宿題やテストのゲーム化」です。私の学級では、「漢字テスト」を「漢字クエスト」と名付け、自己育成ゲームのようなワクワク感を与えています。
最後に「雑学」です。一斉授業をしなければならない場面もあるとは思いますが、授業の中で教科書に載っていない雑学を伝えます。例えば、江戸時代にサブスクのようなものがあったとか、氷を電子レンジで温めても溶けないといったことです。そこから派生した疑問を質問する子どもが出たら、「気になった人は自分で調べてみてね」と声を掛けます。すると、楽しそうに調べ始める子どもが出てきます。一斉授業にもこのような「遊び」の部分が必要なのです。
次回は、具体的にどんな実践をしたのかを紹介したいと思います。