ウェルビーイングを高めることにはさまざまな効果があります。研究によって、ウェルビーイングが高いと学業成績も向上しやすいことが示されています。感情の安定やストレスの軽減が集中力を高め、学習意欲を向上させるためです。また、子どもたちが困難に直面したときに、乗り越える力(レジリエンス)も高めることができます。さらには、幼少期からのウェルビーイング教育は、生涯にわたる幸福感の向上に寄与します。自己理解や自己管理のスキルを早期に学ぶことで、大人になってから生活の質を向上させる基盤が築かれます。
このようにウェルビーイング教育には価値があり、注目されているため、さまざまな実践を目にします。しかし、実践していく際には目新しいことばかりを始めるのではなく、すでにある取り組みを再評価し、ウェルビーイングを高める上で意義深いことを価値付けていくことも重要です。大人にとっても子どもにとっても、無理なく持続可能であるべきです。
ウェルビーイング教育は、子どもたちの今と未来の幸せのために不可欠な要素です。
まずは子どもと接する大人がウェルビーイングになる。
自分の目の前にいる子をウェルビーイングにする。
自分のクラスをウェルビーイングにする。
自分の学校をウェルビーイングにする。
そんなふうにして、少しずつ少しずつ幸せの輪が広がってほしいと考えます。僕自身がそうであったように、一人でも多くの子どもが自分自身のことを受け入れてほしいと願います。「自分は自分のままでいいんだ」と。
そして、読者の方々にも同じように、自分を受け入れ、認め、自分自身のウェルビーイングを大切にするところからスタートしてほしいと思います。もちろん、大変なこともありますが、教師という仕事は素晴らしい仕事です。教師にしかかなえられないことがたくさんあります。教師の皆さんは、そんな希望溢れる仕事に誇りを持ってください。ありのままのあなたで、ありがとうを大切にし、なんとかなるという余白をもって、ワクワクすることをやってみようと思える。そんな教師になってください。
「幸せは伝染する」
一人の幸せが半径5メートルの幸せにつながり、それが地球全体の幸せにつながることを願っています。大げさかもしれませんが、皆がそう願えばそうなります。
この連載を通じて、少しでもウェルビーイング教育に興味を持ってくれたらこれほどうれしいことはありません。一人でも多くの子が幸せになれるように僕もさらに学び続けます。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。(おわり)