第8回 教師の役割は学びと遊びをつなげた授業をデザインすること

第8回 教師の役割は学びと遊びをつなげた授業をデザインすること
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 今回は、「授業の行事化」と「宿題やテストのゲーム化」の実践方法を紹介します。

 まずは「授業の行事化」についてです。小学校・国語科『三年とうげ』の授業では、話の大まかな流れを確認し、子どもたちに分からない言葉を調べさせます。単語を単独で認識し、チャンクとして理解できない子どももいます。そこで教師が範読し、文章の関係性を丁寧に確認します。

 その後、子どもたちに音読劇、おじいさんがこけた峠の粘土での再現、お気に入りの場面の視写やイラスト、クイズ作成などの活動を自由に選ばせます。選択肢にはごっこ遊び、クイズ、ものづくりなど「遊び」の要素を取り入れます。

 ある年、子どもたちが『モチモチの木』の学習でペープサートを提案してきたことがありました。このようなボトムアップ的な提案は積極的に受け入れます。活動がより豊かになりますし、何よりも子どもたちが自分の学びのコントローラーを持つようになります。

 そうして最終的に発表会を行います。制作物はギャラリーウォーク形式で発表し、その他の発表はみんなで鑑賞します。

 続いては、「宿題やテストのゲーム化」についてです。前回も述べたように私の学級では「漢字テスト」を「漢字クエスト」として、自己育成ゲームのように楽しませています。ルールは2つ、得点は経験値として累積され、100点でレベルが1つ上がります。例えば、80点、70点、90点を獲得した場合、累積240点でレベルが2つアップします。余白に部首や熟語を書けば、上限200点までボーナス得点がもらえます。

 この取り組みにより、漢字が苦手な子どもでも努力が報われやすくし、やる気を失うリスクを減らしています。また、ボーナス得点を設けることで、漢字が得意な子どもも楽しめるよう工夫しています。

 実践を進めるにあたり、競争相手は自分自身であることを意識させ、学習の結果ではなく、その過程を褒めるようにしています。そうすることで、外発的動機付けから内発的動機付けに切り替わるようにします。また、学級で過度な競争や結果至上主義を持ち込まないようにしています。子どもたちが学力の優劣を人間性の優劣と誤解してしまうリスクがあるからです。

 こういった実践を紹介すると、学力保障の話が必ず出ます。もちろん、学力保障も大切ですが、今の子どもたちには「学びのコントローラー」を持つ経験が重要です。二者択一ではなく、良い教育とは何かをみんなで考え続けることが、教育の質の向上につながると信じています。

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