学校で編成・実施する教育課程は学校の教育活動の中心をなし、児童生徒の成長の基盤となるものである。そこで、教育課程の意味、誰がどのように編成するのか、教育課程編成の基準はどのようになっているのかが、問われる。
教育課程の類義語にカリキュラムがある。カリキュラムは広く使われるのに対して教育課程は法令で用いられる用語である。学校教育法第33条には、「小学校の教育課程に関する事項は、第29条及び第30条の規定に従い、文部科学大臣が定める」とされている。これを受けて、学校教育法施行規則第52条では「小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする」としている。学習指導要領は各学校で編成する教育課程の基準であり、法令に基づいて作成されていることが分かる。
教育課程の意味については、学習指導要領の総則に次のように説明されている。「学校において編成する教育課程については、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した教育計画である」。教育課程の要素として「学校の教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時数の配当」を挙げている。教育課程を理解するキーワードは、教育目標、指導内容の組織、教育計画、授業時数である。
誰が責任を持って学校の教育課程を編成するのかという点については、学習指導要領の総則「第1」の「1」に次のように記されている。
「各学校においては、教育基本法と学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い、……適切な教育課程を編成するものとし、これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする」
ここで、「各学校においては」とされていることから、教育課程は学校ごとに作成することが分かる。学校の責任者である校長が学校の運営組織を生かし、全教職員の協力の下に編成することになる。「その他の法令」とは、学校教育法施行規則、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などが挙げられる。
さらに、公立学校においては、教育委員会規則としての学校管理規則にのっとって教育課程を編成する。学校管理規則では、学年・学期や休業日を定めるとともに、学習指導要領および各教育委員会が定める基準により教育課程を編成すること、所定の様式に沿って教育課程に関する届けを作成し、定められた期日までに教育委員会に届け出ることとされている。その他、学校管理規則には、教科用図書の使用や教材の届け出、配置する職員、校務分掌、学校評価なども定めている。各教育委員会は、教育ビジョンや各学校が教育課程を編成する際の指針を定めており、各学校ではこれらを踏まえて教育課程を編成する。教員採用試験の準備に当たっては、受験自治体の教育ビジョン、方針などについて確認しておきたい。