最近、「学級づくりが難しくなってきている」といった声をよく聞きます。これまでの教育は、教師の指示に従って子どもたちが一律一斉に動くことが前提でした。しかし、これから日本が目指そうとしている教育は、個々の子どもの能力や興味に合わせて、柔軟な学びを重視しようとする教育です。
さらに、情報化や多様化が進む中で、従来の教育方法だけでは対応が難しくなっています。このような背景から、学級づくりの難しさを感じている教師が増えていると考えられます。
そうした中、教師には新しい教育手法を模索し、子どもたちの主体性を育む工夫が求められています。特に重要なのが、子どもたちに「自己選択」と「自己決定」をさせる場面を設けることです。とはいえ、いきなりこれを求めるのは難しく、無用な失敗体験を重ねさせる恐れもあります。まずは子どもたちが「自己選択」し、「自己決定」できるための土台づくりが必要です。
一番の土台は学級内の「秩序」です。子どもたちが安心して「自己選択」し、「自己決定」するためには、学級内に「秩序」があることが重要です。ただし、教師は自身の価値観を押し付け過ぎていないか、子どもたちに一致団結を求め過ぎていないかを慎重に見極める必要があります。過度な同調圧力は、「自己選択」と「自己決定」の自由を奪ってしまうからです。
学級の「秩序」を守るためには、「他人を傷つけない」「自分を大切にする」を基本とし、その上で他者に「寛容」になることを意識させます。これにより、緩やかにつながり合う学級が形成され、子どもたちは同調圧力を感じにくくなり、安心して「自己選択」や「自己決定」ができるようになります。
「秩序」の次に重要なのは楽しさです。いくら学級に「秩序」があっても、楽しさがなければ子どもたちは意欲的に取り組むことができません。活動に楽しさを見いだせる環境をつくることが大切です。
しかし、「秩序」と「楽しさ」だけではうまくいかない場合もあります。まずは教師が幾つかの選択肢を子どもたちに提示し、その中から選ばせることが大切です。
「秩序」と「楽しさ」を基盤に、子どもたちにスモールステップで「自己選択」「自己決定」する経験を積ませることが、令和時代の学級づくりの重要なポイントなのです。