教員は、これまで経験のない「学び」をデザインしなくてはならない状況になります。そもそも教員は、自身の成長過程で「一斉指導」に適合して成功体験を重ねてきた者の集団です。このマインドセットを変えるには、相当のImpactが必要です。「これから時代がどのように変革していくのか」という具体的なイメージを共有するとともに、「どのような資質・能力を、どのような学びでデザインするのか」の具体的な方策を明確に共有する必要があります。
時代の変革を的確に把握して、どのような資質・能力が必要なのかを教員集団で対話しながら考えていくために、具体的かつ明確なイメージを共有する必要があります。従来の教員研修の手法で教員集団に説明すると「複雑化、多様化、不確定な未来の課題を解決するために、子どもたちが必要な資質・能力を身に付け、知識・技能、思考力・表現力・判断力、テクノロジーの活用・応用を学ぶことは重要です」といった学習指導要領で示されているような文章で共有することになります。これでは、言葉の内容は理解しても、具体的なイメージを共有して「本質」に迫ることはできません。時代の変革を明確にイメージして共有することができないと、どのような資質・能力が必要なのかを考えることすらできません。
そこで、「映像」によるイメージ共有を進めています。最近では経団連のSociety 5.0に関するコンセプト・ムービー「20XX in Society 5.0 ~デジタルで創る、私たちの未来~」を活用しています。このような映像をきっかけに、組織(チーム)で対話を重ねる必要があるのではないでしょうか。
学習指導要領に学びの方向性が示されているものの、「資質・能力」の育成に向けた具体的な方策の共有ができずに「迷い」があるという状況があるように感じます。特に「主体的・対話的で深い学びの実現」というフレーズでは、これをデザインすることが目的になってしまいます。「主体的・対話的で深い学び」はあくまで手段であり、目的は「これからの時代に合った資質・能力の育成」です。この「本質」を的確に捉えて「授業デザイン」をしていく必要があります。