第9回 これまでの実践から教員の「授業デザイン力」を振り返る

第9回 これまでの実践から教員の「授業デザイン力」を振り返る
【協賛企画】
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教員育成において管理職に求められる視点

 これまでに経験したことのない「学び」を構築するためには「メンタル」と「スキル」の視点から、戦略的な育成が必要であると考えています。

 「メンタル」面の育成では以下の点を重視してきました。

 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

 軍人であり優れた教育者であったとも言われる山本五十六氏の人材育成手法です。また、「信じ待ち許す」は、京都の伏見工業高校ラグビー部監督の山口良治氏の信念です。これらの手法や信念は本校の経営方針にも取り入れています。これまで経験したことのない領域に踏み込む際は、失敗や新たな課題が必ず出現します。そのため、「アセラズ」じっくりと前進させていく必要があります。急いで成果を出そうとするのではなく、小さな変化を認め、積み重ねていく視点が必要です。本校の実践は4年目を迎えていますが、まだ「完成」には至っていません。

 また、これまでに経験したことのない領域に踏み込むには「勇気」も必要です。「一歩踏み出す勇気」を引き出すために「やっちゃえ!原宿外苑 Don’t think, just do.」をスローガンに教育活動を展開しています。教員だけではなく、生徒・保護者そして地域にまで浸透するようにPRしています。

 「スキル」面の育成については、教員の考える「材料」と「時間」を確保すること、そして実践の環境を構築することが重要だと考えています。考える「材料」としては、「知識構成型ジグソー法」による「協調学習」の手法を活用しました。考える「時間」は「Teachers Learning DAY」で確保し、さらに文部科学省の「授業時数特例校」の制度の導入によりおおむね月1回実施している土曜授業において、実践を公開する環境を構築しました。

「ワクワク・ドキドキ」する「学び」をデザインする

 「ワクワク・ドキドキ」を感じることは、変革の原動力です。教員、生徒そして保護者・地域が「ワクワク・ドキドキする学び」であることが必要不可欠だと考えています。これからの「学び」をデザインするには、教員がこの感覚を研ぎ澄ませていく必要があるのではないでしょうか。この感覚が学習者の「主体的」な学びにつながり、充実した「対話」が生まれ、「深い学び」の構築になります。

 最近、保護者との対話の中で「教育活動を見ていてゾクゾクしました」という感想がありました。「ワクワク・ドキドキ」を「ゾクゾク」まで高めていく必要があると感じた瞬間でした。

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