初めまして。友田真(ともた・まこと)です。教師として18年目、今年度は3年生を担任させていただいています。初任の頃から変わらず、「子どもたちのやる気に火をつけ、可能性を伸ばす」ことができる教師を教育哲学に、実践を積み重ねてきました。
教育哲学は変わらないものの、私の中で言葉の捉え方は変化しています。経験年数の浅い頃は、「教師である私の力で子どもたちのやる気に火をつける」という思いが強くありました。そのため、子どもの実態を捉えて指導を考えるというより、私が「どう教えるか」を中心に考えていました。年度末には「友田先生に担任してもらってよかった」「来年も友田先生がいい」などと言われることを目指していたように思います。
子どもから信頼されることは、重要な要素です。しかし、経験年数が増える中、なんか違うのではないかというモヤモヤ感が芽生えてきました。私の力で「やる気に火をつける」など、おこがましいのではないか…と。
子どもたちは、無限の可能性を持っています。「すごいなぁ」と思うことがたくさんあります。「子ども自身もやる気に火をつけたい」という願いを持っています。教師が強引につけた火はすぐに消えても、子どもが「つけたい」と願ってついた火はその後もともり続けます。そのために、子どもたちの「やる気」を引き出し、可能性を伸ばすための「伴走」ができればと考えるようになりました。
「Present(プレゼント)」
この言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。人に何かあげる「プレゼント」の意味以外に、「現在」という意味があります。子どもたちの「未来」をより豊かなものにするためには、「現在」をどう過ごすかが関係してきます。
せっかく担任させてもらった子どもたちとの縁。私や学級の仲間と過ごす「現在」が、少しでも「未来へのプレゼント」になれば、こんな幸せなことはありません。そのためには、年度末に「来年も友田先生がいい」と言われることを目指すのではなく、「先生や学級の仲間との別れは寂しいけど、これからも自分でできそうな気がする」と自信を持ち、「やる気」がともり続けてくれればと願っています。
その一環として実践しているのが「自己調整学習」です。次回以降、この「自己調整学習」の理論について、実践者である私が解釈し、行ってきたことを述べていきます。
【プロフィール】
友田真(ともた・まこと) 1984年広島県生まれ。広島大学教職大学院修了。現在広島県公立小学校勤務。公認心理師。徹底反復研究会などに所属。著書に『自ら学びをコントロールする力を育む 自己調整学習 子どものやる気に火をつけ、可能性を伸ばせ!』『子どもの根っこを育てる学級通信スキル&実例』『授業でクラスをつくる教師の見方 子どもと子どもをつなぎ、どう学ばせる? 「学び方」「安心」「つながり」がその極意』(いずれも明治図書出版)など多数。また、教育雑誌に執筆多数。「子どもたちのやる気に火をつけ、可能性を伸ばす」ことを教育哲学に実践にあたっている。