第10回 改革を進める際の留意点

第10回 改革を進める際の留意点
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新たな手法や考え方をちゅうちょせず、柔軟に導入

 「目的」をブレなくチームで共有していれば、「手段」は無限にあります。試行錯誤しながら最善策を探っていくことが変革であり、これからの時代には必要であると捉えています。

日本では「そろえる教育」がこれまでの常識であったこともあり、そうした視点からの課題解決のアプローチが弱いと感じています。例えば、自治体で何か取り組みを展開するとなると、全ての学校で同じ手法で、同じ実践をするといった状況が散見されます。そうではなく、個々の学校が新たな手法や考え方をちゅうちょせず、柔軟に導入して「やってみる」ことで、トライ&エラーを重ねていくことが重要だと捉えています。

 昨年度の「Teachers Learning DAY」で、世界的な教員研修を実施しているインテル株式会社の「インテル? Skills for Innovation」という教員研修を導入しました。テクノロジー(先端技術)と学びを融合することで、生徒の可能性を最大化していくという考え方を体感する研修です。この中で「Catalyst(触媒)」というフレーズが私の心に刺さりました。

 これからの「学び」をデザインしていく上で、教員の立ち位置は「ファシリテーター」や「伴走者」として捉えられることが多い中、「学び」の中で「生徒の化学反応」を引き起こす「Catalyst(触媒)」としての立ち位置で「学び」をデザインしていくというものです。当たり前のようで気付いていなかった視点でした。

 トヨタ式「トップダウン」が重要

 トヨタ自動車の豊田章男社長(現会長)の2020年の年頭あいさつの考え方が、変革の近道であると考えています。

 「トップダウンとは、部下に丸投げすることではない。トップが現場に下りて、自分でやってみせることだ。私自身、これだけは絶対に実践すると決めて、必死に努力してまいります。では、ボトムアップとは何でしょうか。現場の事情や理屈をトップに押し付けることではないと思います。トップの考えに迫り、自ら、自分の仕事のやり方を変えていくことではないでしょうか。モノの見方、考え方を変えなければ仕事のやり方は変わりません。自分にも見えていない現実がある。トップもボトムも、そのことを受け入れる素直さ、そして、見えていない現実を見ようと努力することが大切だと思います。私は、そんなトップダウンとボトムアップを皆さんに求めているんだと思います。」

 授業デザインについても教員に丸投げするのではなく、自分でやって見せること。そして授業デザインについて「本音」で教員と向き合うこと。さらに、自らも「授業デザイン」の見方・考え方を変えていくということ。このような実践を続けることで、見えていなかった「新しい学び」が見えてくると考えています。

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