「やってみなきゃ分からない」という視点で、「学校の常識」を見つめ直す時期が到来していると感じています。社会の変化により「社会の常識」と「学校の常識」のズレが大きくなってきているように思うのです。
学校のDX化によって職員間の情報共有が容易にできるようになり、会議の時間などが大幅に削減されました。特に顕著なのは職員会議です。これまでは特段必要がなくても会議の時間を設定し、起案の内容を時間をかけて共有してきました。しかし、そもそも職員会議は、学校運営が円滑に行われるように、校長が所属職員の意見を聞いたり、運営方針を周知させたり、職員相互の事務連絡を図るものです。意思決定は、校長自らの権限と責任において行われるものであり、職員会議は校長が職務を遂行するにあたって、それを補助する機関として位置付けられています。本校では情報共有をデジタルで行い、会議は新規企画のみに絞って実施するようにしたことで、時間は半分以下になりました。
また、異常気象とも言える猛暑や災害が多発する状況を鑑み、学校内に飲料の自動販売機を導入しました。多くの公立学校では「水筒持参。ジュースは駄目!」というのが常識になっていると思いますが、自販機が設置されて「やってみなきゃ分からない」ことがたくさん見えてきました。第一に、災害時の飲料が確保できるという安心感があり、保護者・地域から好評です。また、適切に糖分を摂取することで、授業中に眠くなる生徒が減少したように感じます。
「学校」は、社会の最先端を学ぶところだと捉えています。そのためには、常に「学校」自体をアップデートしていく必要があると感じています。また、社会の最前線で活躍する人材を育成するには「伝統」と「革新」の融合が必要であるとも考えています。学校は「未来社会」に一番近い存在であるとともに「伝統」を継承していく場でもあり、この両面を大切にして学校のデザインをしていきたいと考えています。
さらに、「学校」は集団で学びを進める場でもあり、「集団で学ぶ」という最大のメリットを追究する必要があります。そのために「対話を重視すること」を核として「学校」の価値を見つめ直していきたいと考えています。(おわり)