第4回 「自己調整学習」のカギを握る「メタ認知」

第4回 「自己調整学習」のカギを握る「メタ認知」
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 「自己調整学習」は、学習者が自分自身の学習プロセスに能動的に関わる学習です。「予見段階」では、目標を設定し、学習方法を選択します。「遂行段階」では、学習状況をモニタリングし、調整します。「内省段階」では、振り返りを行い、次の学習への「やる気」を高めます。これらの学習プロセスを学習者自身が行うためには、「メタ認知」が重要になります。

 三宮(2022)は、「学びを自ら調整するためには、メタ認知を働かせることが欠かせない」と述べ、メタ認知について「見る、聞く、読む、書く、理解する、覚える、思い出す、考える、思い出す、考えるといった認知的活動(頭を働かせる活動)に対して、一段高いところから捉え直すこと」と説明しています。

 「自己調整学習」における「学びのかじ取り」を行うのは、学習者自身です。「メタ認知」を働かせているからこそ、「やる気」を持ち続けることができたり、「学習方法」を調整したりしながら、適切に「自己調整学習」を展開できたりするのです。「メタ認知」を上手に働かせることができる人の方が、持っている能力を発揮したり、感情をコントロールしたりすることが上手です。また、選択する学習方法も豊富です。

 私は日頃、ランニングを行っています。ランニングをする際は、自分自身の能力を俯瞰(ふかん)して捉え、ペースなどを自分でコントロールします。まさに、「メタ認知」をしている状態、「自己調整」を行っている状態です。走る前に、どのくらいの距離を走るか(目標)決め、距離と自分自身の能力やコンディションから、走るペースを調整します。走っていると苦しくなるときがありますが、そんなときは「もう少し走れば下り坂だから、あそこまで走れば少し楽になる」などと考え、気持ちをコントロールします。時には、「息を大きく吸って、呼吸のリズムを整えよう」などの方法を選択することもあります。私は素人なので、苦しい時に選択する方法も呼吸の調整くらいしかありませんが、プロの場合は手の振り方やフォームの修正など、選択する方法が増えてくるのだと思います。走り方や気持ちをコントロールする方法が豊富にあれば、より速く走ったり、苦しい自分を乗り越えたりすることにもつながっていきます。

 ランニングを学習に置き換えて考えると、「メタ認知」を働かせることができる人ほど、「やる気」になったり、学習をうまく展開できたりすることに、納得できると思います。次回は、「メタ認知」を促す方法を考えていきます。

 

【参考文献】

三宮真智子(2022)「学びを調整するためのメタ認知を育む」『教育研究』第77巻5号

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