第10回 「自己調整学習」を促す教師の在り方

第10回 「自己調整学習」を促す教師の在り方
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 「自己調整学習」は、学習者である子どもが自分の学習過程に能動的に関与している学習です。では、教師は必要ないのでしょうか。私は、これまで以上に教師の役割は大きくなると確信しています。

 大切なのは「何を言うか」よりも「誰が言うか」だと考えています。学校での勉強に対しては、興味のある子ばかりではありません。たとえ興味のない学習内容でも信頼する先生が知的好奇心を刺激するから、「〇〇について知りたい」などの目標を立てることにつながるのです。そして、信頼する先生が認めてくれるから「できた」という達成感を得て、「もっと知りたい」という次の学びへとつながっていくのです。

 学習をうまく展開できない場面に直面しても、信頼する先生が伴走してくれれば、粘り強く学び続けることができます。子どもたちは、まだまだ未熟な学習者です。伴走し、支え、成長を促すことは、教師の役割です。教師が子どもたちにとって意味ある存在になることは、「自己調整学習」を促すための土台だと考えています。

 一人一人の子どもを理解し、支えていくことは容易なことではありません。昨今は子どもや社会の在り方、価値観なども多様になってきています。そうした中で、「自己調整学習」では一人一人が異なる学びを展開していきます。加えて、授業のコントローラーを持っているのは、教師ではなく子どもたちです。

 そうした中で子どもたちに対応していくには、教師の「みる力」がとても大切になります。同じ授業、同じ子どもをみていても、教師によってみえる世界が違います。みえる世界を広げていくためには、教師自身も「自己調整学習」を展開し、アップデートし続ける姿勢が大切になります。教師自身が歩み続けることが、子どもたちの学びを促していく大きな原動力になるのです。

 教師は、子どもたちの「未来」に関われる尊い仕事です。子どもたちには、自分の目標に向けて歩み続けることのできる人に育ってほしいと願っています。そのチカラを、子どもたちは持っています。少しでも子どもたちの「やる気に火をつけ、可能性を伸ばす」ことができるように、私自身も学び続けたいと考えています。

 全10回の連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。少しでも、皆さんの実践の参考になったことがあれば幸いです。(おわり)

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