第9回 みんなが「話せる」学校づくり5つのポイント①~②

第9回 みんなが「話せる」学校づくり5つのポイント①~②
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 「令和の日本型学校教育」が目指す「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現するためには、子どもを主語とし、教師が子どもの学びの伴走者になる必要があります。そのためには、旧来型の指導観や子ども観の変容、つまり「教師の在り方」の変容が求められます。

 しかしそれは、これまで自分が信じてきた教職の基盤となるものを手放すことになるため、恐れや不安、痛みを伴います。これまでご紹介した対話型組織開発の実践事例について言えば、対話を通じて職員間の関係性の質や学校の心理的安全性を高めることで、恐れや不安を超えて、教師の「観」の変容が生まれた事例であったと言えるでしょう。

 しかし、残念ながら対話は学校の心理的安全性や協働を生み出すための万能薬ではありません。対話は特定の疾患に効く即効性のある薬ではなく、じっくりと体質改善を促す漢方薬のような薬です。副作用としてネガティブな反応が起きる可能性もあります。

 今回と次の最終回では、対話による学校づくりがうまくいくための5つのポイントをご紹介したいと思います。

①他者を変えようとするのではなく、「まず自分から始める」

 「対話について管理職の理解がなく、話を聞いてくれないが、どうしたらいいか」と質問を受けることがあります。管理職や誰かが状況を変えてくれるのを待つのではなく、自分自身が変化の源になることで、変化を生み出すことはできます。「担任として」「研修主任として」「管理職として」「私はこう考えるべき・話すべき」といった会話ではなく、「私はこう感じる」「私はこう思う」と率直に思いを伝えます。それを自分から始めることで、少しずつチーム全体の心理的安全性が高まっていくはずです。

②周りを巻き込み、仲間をつくる

 対話型組織開発の取り組み当初は、対話の価値や意義について職場の理解が得られず、うまく進まないことがありますし、変化を実感できるまでに時間もかかります。

中原小学校「対話の時間」開催案内ポスター
中原小学校「対話の時間」開催案内ポスター

 取り組み途中で心折れてしまわないためにも、校内に同じ思いを持つ仲間を増やしながら、取り組みを継続することが大切です。仲間を増やすアイデアの一つに、校内研修の開催案内の工夫があります(写真)。校内研修の開催案内は事務的なものが多いですが、写真の中原小学校では「対話の時間」が「指示を受けて参加『させられる』時間」ではなく、「自分たちのための大切な時間」であるというメッセージを伝えています。このように、研修企画者の思いを伝えながら研修の場をつくることで、チームの関係性が深まり、対話を通じた学校づくりの仲間が増えていくはずです。

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