最終回も前回に引き続き、対話による学校づくりがうまくいくためのポイントをご紹介したいと思います。
③取り組みを持続する「熾火(おきび)」となるコアチームをつくる
毎年かなりの人事異動がある公立学校で、対話を文化として根付かせるためには工夫が必要です。NPO法人学校の話をしようが対話型組織開発の支援をする際には、必ず校内にコアチームをつくってもらっています。コアチームは共に対話の場づくりをするだけでなく、変化の源となる「熾火」として対話の価値を周囲に伝播し、学校に対話を取り入れる目的や意義などを、新しく加わった教員に伝える役割も担います。
コアチームのメンバーは、対話の体験があり、対話の価値を理解し、体現できる人であることが望ましいでしょう。校務分掌として選任するのもありですが、当人が対話の価値を身をもって理解できていないと、その意義を周囲の教員に伝えることが難しくなるため、人選には注意が必要です。
④「仕組み」を変え、「対話」を継続しやすい環境をつくる
ここまで「人」にフォーカスしたポイントをお伝えしてきましたが、「仕組み」を変えることも重要です。職員会議を廃止して就業時間内に「対話の時間」を設定するなど、新しい仕組みを導入することで校内に対話が生まれやすくなります。また、学校や教育現場の仕組みを変える力を持つ、校長や教育委員会の役割は非常に大きいと言えます。管理職や教育委員会の皆さんには、学校や地域全体に対話の文化が広がるように、仕組みづくりや環境面の整備をお願いしたいと思います。
⑤外部のリソースを活用する
管理職や教育委員会は教育の専門家ですが、対話の専門家ではありません。外部の力を借りることに抵抗感を持つ学校も多いようですが、学校や教育委員会への支援経験がある団体がありますので、ぜひ外部リソースの活用を考えてみてほしいと思います。
これまでご紹介した5つのポイントのほとんどが「どうやって初めの一歩を踏み出すか」に関係していますが、この最初の一歩は決して簡単なことではありません。ただ、皆さんが踏み出す一歩は、あなた「だけ」の一歩ではないことを心に留めておいてほしいと思います。先生がコンフォートゾーンから一歩踏み出して挑戦し、その体験から学ぶ姿は、子どもたちにとって素晴らしい手本になるはずです。また、先生の行動は職員室や教室の中に閉じるものではなく、子どもたちや家庭、地域全体に影響を広げていきます。対話が生む心理的安全性や、人間同士の豊かなつながりは、私たちの社会の未来を創ることにつながっているのです。ぜひ力を合わせて共に取り組んでいきましょう。(おわり)
※NPO法人学校の話をしようは、2025年2月9日(日)にカンファレンスを開催します。対話を通じた学校づくりや学びにご関心のある方、すでに実践されている皆さまとつながり、学び合う機会になればと思っています。ぜひご参加ください!