第6回 学習行動を調整する

第6回 学習行動を調整する
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 学習者が主体的に学びを進めることができるようになるためには、学習行動を調整することができるようになる必要があります。学習行動を調整するとは、課題の解決や目標の達成に向けて行動し、学習を進めていったり、実行している学習をメタ認知して軌道修正したりすることです。

図1 学習行動を調整することに対するイメージ図
図1 学習行動を調整することに対するイメージ図

 図1は、学習行動を調整することについてのイメージ図です。まず、学習者は授業の中で課題と出合います。初めはその課題をしっかりと理解するところから学習行動が始まります。

 次に、課題を基に自分が頑張りたいこと、達成したいことを考え、目標を設定します。その際は、遠くの目標である長期目標や、その目標を分割した短期目標を設定することが重要です。

 目標が設定されたら、次に計画を立案します。私が小学校教員をしていた時は、自らの学習を調整するための学習計画表を「レギュレイトフォーム」(図2)と名付け、児童に配付していました。そして、このフォームに、児童が自ら学習活動やその活動での方法・方略、取り組む時間、取り組む環境(誰と学ぶか、どこで学ぶか)を書き込むようにしていました。

図2 4時間の単元のレギュレイトフォーム例
図2 4時間の単元のレギュレイトフォーム例

 また、計画を立案した後すぐに学習活動を開始するのではなく、これまでの自らの学びをメタ認知し、「この活動で課題は解決するのか」「この方法で目標は達成するのか」「この時間配分で十分か」といった視点で計画を確認する時間を取っていました。このように計画を立案することで、学習者はその後の学習の見通しを明確にすることができました。

 学習の見通しが明確になった後は、学習を実行していきます。学習者が学習行動を調整しながら、主体的に学習を実行していくには、学習過程を把握し、情報活用能力を身に付けている必要があると考えます。その過程が図1の実行推進に示した7つです。このような過程で学びを進める経験を何度も繰り返し経験することにより、情報を活用するための方略を身に付け、学習を自ら推進していくことができるようになるのです。

 しかし、学習を自ら推進するだけでは、主体的に学びを進めているとは言えません。主体的な学びを実現するためには、自らの学習をメタ認知し、推進している学習が課題の解決や目標の達成に向かっているのか、効率の良い学習方法・方略か、この環境でよいか、残り時間で課題・目標は解決・達成するのかといったことを確認・調節しながら学習を推進することが重要なのです。このように、課題の解決、目標の達成に向け、推進と確認・調節を繰り返し実行しながら学習を進めていくことが、学習行動を調整しながら主体的に学ぶことであると考えます。

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