学校現場で自己調整学習を促す教材を作成し、それらを用いた授業実践が行われています。特に単元の学習計画を明確にするために児童の実態や担当する教科の特性に合わせてレギュレイトフォームを作成し、実践を積み上げられている先生・学校が数多く見られようになってきました。ここでは、現場で作成されたレギュレイトフォームとその特徴について紹介をしていきます。
図1は、富山県射水市立片口小学校の福田慎一郎教諭が作成し、活用されているレギュレイトフォームです。5年生の社会科で学ぶ「水産業」の単元のフォームを例に挙げています。このフォームでは、学習者が学習行動と動機付けをメタ認知し、調整できるように工夫されています。中でも、他校ではあまり見られなかった動機付けを調整する項目であるA?Cが盛り込まれていることが、このフォームの特徴です。Aが含まれるシートは「課題」についてのシートです。また、Bが含まれるシートは「目標」についてのシート、Cが含まれるシートは1時間の「計画」についてのシートです。
Aは、学習者が課題に対する興味を持つことができるように、課題を解決すると「どんな力が自分につくか?」という項目が立てられ、それに対して児童が「どのように魚をとって、消費者まで届くのか、詳しく知ることができる(教科の目標につながる記述)。班の人と意見を出しながら考える力がつく(協働や身に付く能力に関する記述)」と記述し、課題解決の見通しを明確にしています。
また、Bでは「グループ目標を達成すると、どんな力が高まるか」「グループ目標を達成するために、どんなことをするか」という項目が立てられ、グループで立てた目標の達成に向けて考えることで、動機付けを高めることを狙っています。
さらに、Cでは学習中に自らの学習への動機付けをメタ認知し、方略を選択して調整することができるように工夫されています。このように学習行動とともに、動機付けを調整する項目を入れたことにより、子どもたちが以前よりも前向きに楽しく学びを進めることができるようになったと、福田教諭は語っていました。