第9回 自己調整学習を促す教材を用いた中学校での授業実践

第9回 自己調整学習を促す教材を用いた中学校での授業実践
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 福井県の小浜市立小浜第二中学校(以下、二中)では、ほぼ全ての教科の授業でレギュレイトフォームを活用しています。二中が、レギュレイトフォームを活用して授業を行うようになったのは、2023年の夏の研修の後でした。学校全体で主体的に学びを進めることができる生徒を育成するためのきっかけとして、レギュレイトフォームの導入を検討されました。

 研究のすべり出しの段階では、既存のフォームを活用した実践が行われていましたが、徐々に生徒の実態や学校の研究に合った形にフォームが進化し、現在は図1のようなフォームがさまざまな授業で活用されています。

図1 小浜市立小浜第二中学校が活用するレギュレイトフォーム(社会科)
図1 小浜市立小浜第二中学校が活用するレギュレイトフォーム(社会科)

 この図は、二中で社会科を担当されている早貴文教諭が作成され、研究主任の板谷奈穂子教諭が学校の研究として校内に広められたものです。このフォームの特徴は、「課題」「目標」「計画」「振り返り」を記入するとともに、単元の課題解決のために重要であると考える学習活動や、1時間の学習を振り返って見えた学習の課題や疑問をTo doリストにして記述するようになっているところです。

 このように記述することにより、それらの活動や課題・疑問を忘れることなく取り組むことができます。この工夫が授業と授業の連続性を生み出し、学習に対する主体性の醸成と教科内容の定着につながったと語っておられました。また、このフォームでは、「レギュレイトフォームの振り返り」として、学習の計画などに対する振り返りと教科内容に対する振り返りを記述するようになっています。このように振り返りを分けることで、学習後に教科内容を想起し、身に付けるべき知識を定着させたり、学習の進め方として方法面や調整面での成果と課題を明確にしたりすることにつながり、教科の学びを充実させながら主体的な学びを実現することにつながりつつあると語っておられました。

 二中では、生徒が自ら楽しく学びを進めていくことを目標に、研究が進められています。レギュレイトフォームを活用することが、生徒が主体的に学びを調整することにつながっているという先生方の実感から、さまざまな教科でこのフォームが導入され、現在では部活動や委員会活動、生徒会活動などでも生徒たちが自主的にフォームを活用しているようです。学習の調整が日常生活を調整することにもつながったことは、これからの生徒の人生に非常に意味のあることではないかと考えます。

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