第7回 学校づくりに「p4c」を生かす

第7回 学校づくりに「p4c」を生かす
【協賛企画】
広 告

 「全校生徒で対話する場をつくりたいのでアドバイスが欲しい」

 福井県立若狭高校の生徒会執行部から依頼を受け、対話について話す機会をいただきました。以前は「討論大会」を開催していたそうですが、2年前から「対話集会」に変更したとのこと。しかし、去年の集会後、「気まずい雰囲気で話しづらかった」「なぜ対話しないとならないのか」「対話は好きじゃない」などの声が生徒から上がり、改善策を考えたいということでした。

 対話の受け止め方はさまざまで、楽しみや意義を見いだす人と、そうでない人がいるのは、自然なことです。それでもなぜ全校生徒で対話をしたいと思っているのかを尋ねると、「学校を良くするためにできることを対話し、提案を生み出したい。自分たちで学校を変えていけると実感してほしい」とのことでした。対話には状況を変えていく力があることを、生徒たちは感じ取っていました。

 対話集会には525人の生徒が参加し、16の教室に分かれて「校則」をテーマに語り合いました。話すことに慣れ、セーフティーを高め、徐々に対話を深めていけるように、計4回のセッションを開いて対話を重ねていきました。私が事前に助言したことは、「なぜ、対話の場を設けたいのか、生徒会執行部の思いを他の生徒にしっかり伝えた方がよい」ということでした。対話を始める前、校則について理解を深めるという目標とともに、「自分の意見をもつ力を付ける」「人と考えを交流することを楽しむ」「自分にない意見を受け入れる力を付ける」「互いの価値観を共有し、考えを深める力を付ける」という4つのポイントが示されました。対話する意味を彼らなりの言葉で表現し、伝えようとしていました。

 校則に関する資料を確認した後、5~6人の小さなグループで対話がスタートしました。最初のうちは、アルバイト、スマホ、メイクなどの規制や、制服の着用の仕方に関する細かなルールなどについて、生徒たちが不満を語る場面が多く見られました。「こんなルールは必要ない」「自由にしたい」という欲求の表現から始まったものの、徐々に「でも、もしこのルールがなくなると…」と逆の立場から考えての発言が目立つようになりました。対話の最後には、なぜルールがあるのかを多角的に捉えつつ、自分たちはどうしていきたいかを考える生徒の姿がありました。

 終了後の反省会で、生徒会執行部の生徒は「対話の受け取り方は人それぞれで意義が十分に伝わったか疑問」「対話の形は多様だからこそ面白い。課題を踏まえ新たな対話の場を生み出したい」と振り返りました。対話を文化として育てたいという生徒の挑戦に、「それなら授業でもっと対話を取り入れよう」と、教師が呼応します。生徒と教師が対話しながら学校づくりに取り組む姿がありました。

広 告
広 告