7月の第1週は通知表の作成が始まる時期だ。1学期の学習の評価評定と、所見の作成を行う。
近年は2学期制の学校も増えたし、通知表だけは2学期制で行うという学校もある。3学期制だが、所見を書くのは1学期末と3学期末という学校もある。さらに、通知表も所見も年1回という学校も散見する。いずれも教員の負担軽減が根底にあるのは間違いない。
そのような学校に勤務する教員は、この時期、評価評定や所見の作成で苦労するということは少ないだろう。
一方、そのような学校を多少うらやましく思いながらも、3学期制で毎学期、所見を書いている教員もいるし、毎学期ではなくても1学期は所見を書くという教員もいる。この時期、所見で苦労する教員は少なからずいるというのが現実だ。
その通知表、特に総合所見の作成をいくらかでも効率的に行うには、どうすればよいのだろうか。
まず、総合所見の一般的な書き方を考えてみると、おおむね次の4ステップになる。
もちろん、ステップごとに書き出したり、いちいち考えたりする必要はない。おおよそ上記のような手順を頭の中でたどって、所見文を考えればよい。
大事なのは、第1ステップの事例を複数挙げることであり、その事例が複数挙げられるかどうかが問題でもある。通常、この事例がなかなか挙げられないことから、あるいは挙げられない子が何人かいることから、担任教師は所見文の作成に苦労するのだ。
子どもの具体的な行動は、早い時期からこつこつと記録しておくものだ―― などと言ってしまっては、興ざめである。そのようなことは分かっている。分かっているができないのだ。だから、苦労するのだ。
では、どうするか。いくつかの方法を紹介したい。
1つ目は、1人の子(場合によっては2人)を1日中、観察するのである。朝、朝の会、授業中、休み時間、給食、清掃、帰りの会、放課後。とにかく、その子をずっと観察する。すると、その子の良さが現れている行動が必ず見つかる。
2つ目は、子どもに仕事を頼むことだ。これは複数の子に頼んでもよい。少し手間の掛かる仕事をいくつか頼むのがよい。仕事を手伝ったという事実とともに、仕事に取り組む姿勢や友達との関わり方も見えてくる。
3つ目は、子どもと一緒に仕事をすることだ。仕事を頼むよりも、一緒に仕事した方が良さが見えてくることがある。話をしながら取り組めば、気付かなかったその子の意外な一面を知ることができるかもしれない。
通知表所見文例集なども活用すれば、より良い所見が効率的に書けるだろう。