【教採キーワード―調べ確認してみよう(31)】教職員による不祥事の防止

【教採キーワード―調べ確認してみよう(31)】教職員による不祥事の防止
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 教員による不祥事とそれに対する処分の報道が後を絶たない。教員の服務規律に関する事項が教員採用試験や面接などで出題されることも多い。また、教育委員会にとっても不祥事を根絶することは重要な課題となっている。

地方公務員法ほか

 教職員の服務の法令上の根拠は、まず地方公務員法に求められる。「第30条(服務の根本基準)すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」。ここでは「全体の奉仕者」「公共の利益のために勤務」「全力を挙げて専念」が重要な語句である。次に、職務を遂行するに当たって守るべき職務上の義務と、職員の身分から求められる義務を定めている。

 職務上の義務としては、服務の宣誓の義務(第31条)、法令に定める規定及び上司の職務上の命令に従うこと(第32条)、勤務時間及び職務上の注意力の全てを職責遂行のために用いる職務専念義務(第35条)が定められている。

 身分上の義務としては、信用失墜行為の禁止(第33条)、秘密を守る義務(第34条)。政治的行為の制限(第36条)、争議行為の制限(第37条)、営利企業への従事制限(第38条)である。

 一方、性犯罪や性暴力で懲戒処分を受けた教員が過去最多となったことが報じられた(2024年12月)。この中には児童生徒への性暴力やみだらな行為、わいせつな行為により処分されたものも含まれている。このような事情を背景に児童生徒への性暴力を防止するために設けられたのが、21年に公布された「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」である。第2条3項では「児童生徒性暴力等」について5項目にわたって定義し、第3条でこれらの行為を禁止している。また、第10条では、教職員は児童生徒性暴力等を行うことがないよう教職員としての倫理を保持すること、勤務する学校で児童生徒等が教職員によって性暴力を受けたと思われるときは、適切かつ迅速に対処する責務があるとしている。

各教育委員会における取り組み

 各教育委員会では教職員の服務に関する研修を繰り返し実施するとともに、服務に関するガイドラインを定めている。例えば東京都教育委員会の「使命を全うする!~教職員の服務に関するガイドライン~」(24年4月)では、第1.章として「子供たちや自分を守る、具体的な行動を考えよう」として、17の不適切な問題行動を示している。「1 児童生徒性暴力等」では、具体的な問題行動、過去の服務事故と処分を示し、より具体的に理解できるように工夫されている。第2.章では「もう一度確認しよう、服務の基礎知識」として行政処分や教職員が負う責任も含め5項目に整理している。

 各教育委員会では、教職員の服務規律違反や非違行為に対して処分を行うことになるが、そのための処分量定を示している。東京都の場合、上記の「児童生徒性暴力」の5つの行為は免職、SNSなどを利用した私的なやりとりは停職・減給・戒告、過失により個人情報を盗まれ、紛失し、又は流出させた場合は、減給・戒告とされている。これらのように、非違行為の範囲と具体的内容、処分の量定を知っておくことによって、服務を厳守する自覚を確実なものにしておくことが大切である。

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