今年6月の全国の熱中症による救急搬送人員は1万7229人で、6月分の調査を開始した2010年以降、最も多かったことが、消防庁の集計で7月23日に分かった。気象庁が統計を開始した1898年以降、6月の月平均気温としては最も高く、非常に厳しい暑さとなったことが影響したとみられる。年齢区分別では高齢者が全体の約6割に上っているが、18歳未満の子どもも約1割を占めている。
6月の熱中症による救急搬送人員は、おととしと昨年は7000人台だったが、今年は1万人以上増えた。救急搬送人員が1万人を超えたのは、22年6月以来、2回目となる(=グラフ)。特に今年は6月16~22日の週で8679人が救急搬送され、前の週から一気に増えていた。
年齢区分別に救急搬送人員とその割合をみると、▽高齢者(65歳以上) 1万342人(60.0%)▽成人(18歳以上65歳未満) 5246人(30.4%)▽少年(7歳以上18歳未満) 1534人(8.9%)▽乳幼児(生後28日以上7歳未満) 105人(0.6%)――などの順だった。
医療機関での初診時の傷病程度別では、軽症(外来診療)が最も多く1万750人(62.4%)、次いで中等症(入院診療)が6006人(34.9%)、重症(長期入院)が384人(2.2%)だった。死亡は26人(0.2%)いた。
発生場所別では、住居が6819人(39.6%)で最も多く、次いで道路の3404人(19.8%)、公衆(屋外)の2012人(11.7%)の順だった。幼稚園、保育所、小学校、中学校、高校、専門学校、大学などの教育機関は745人で、全体の4.3%を占めていた。
救急搬送人員が1000人を超えていた都道府県は、東京都(1554人)や大阪府(1217人)、愛知県(1170人)、埼玉県(1164人)で、都市圏に多い傾向がみられた。
消防庁では、6月中旬以降も命に関わる危険な暑さが続いているとして、小まめな水分補給やエアコンの使用、熱中症警戒アラートが発表された日は外出をできるだけ控え、暑さを避けるなどの対策を呼び掛けている。
【キーワード】
熱中症 体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などの症状が起きる。学校でも熱中症には注意が必要で、小まめな水分・塩分補給や暑さ指数(WBGT)のチェックなどをしながら、安全な教育活動を行うことが求められている。