【教採キーワード―調べ確認してみよう(34)】生徒指導の構造―2軸3類4層構造

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 生徒指導というと、課題対応または課題予防的指導と簡単に理解されがちであるが、実際には児童生徒の健全な成長を促す指導としての性格を持っている。生徒指導提要では、生徒指導の定義を「児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のこと」としている。また、生徒指導提要では、生徒指導を2軸、3類、4層の構造として捉えている。

生徒指導の2軸3類4層構造

 まず、児童生徒の課題への対応を時間軸として整理したものが、常態的・先行的生徒指導と即応的・継続的生徒指導の2軸である。前者は、後述する発達支持的生徒指導と課題未然防止教育に該当する。後者は、課題の早期発見対応と深刻な課題への切れ目のない指導・援助を行う困難課題対応的生徒指導に該当する。

 次に3類とは課題性の高低や課題への対応の種類から整理したもので、発達支持的生徒指導、課題予防的生徒指導、困難課題対応的生徒指導の3つである。発達支持的生徒指導とは、児童生徒の自発的・主体的な発達の過程を、教職員が支持し支えていくとの意味である。この生徒指導では、児童生徒の自己効力感、コミュニケーション力、他者理解、思いやり、共感性、人間関係形成力、協働性、問題解決力などの社会的資質や能力を育てていくことが狙いとされている。また、自己の将来をデザインする力も大切である。具体的な場面としては、日常の教職員による励まし、賞賛、対話、授業や行事における個と集団への働き掛けとして進められる。

 次の課題予防的生徒指導は、課題未然防止教育と課題早期発見対応に分けられる。課題未然防止教育とは、諸課題の未然防止を狙いとした意図的・組織的・系統的な教育のことであり、いじめ防止や薬物乱用防止、自殺予防、情報モラル教育などが該当する。課題早期発見対応とは、課題への予兆が見られたり、問題行動のリスクが高まったりした場合に、深刻な問題に発展しないよう課題を早期に発見することを指している。例えば、遅刻・早退・欠席の増加、身だしなみの変化、成績の急落などの場面で、早期発見に努めることである。

 3つ目の困難課題対応的生徒指導とは、いじめ、不登校、少年非行、児童虐待など特別な指導・援助を必要とする特定の児童生徒を対象に、校内の教職員だけでなく教育委員会、警察、医療機関、児童相談所などと連携しながら課題対応を行う生徒指導のことである。

 最後に生徒指導の4層とは、3類の1つである課題予防的生徒指導が、課題未然防止教育と課題早期発見対応に分けられることから、合計4つを課題性の低い生徒指導から課題性の高い生徒指導へと4層に積み上げたものである。発達支持的生徒指導→課題未然防止教育→課題早期発見対応→困難課題対応的生徒指導の順である。生徒指導上の課題を引き起こさせないようにするためには、4層の下層に当たる、発達支持的生徒指導と課題未然防止教育を充実させることが重要である。

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