面接官の印象に残すには 実践的指導力を積極的に示す

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場面指導と模擬授業のポイント

「このようなことが起きた場合、あなたならどう指導しますか」。学校生活における1場面を想定し、どのように対応するかを問う場面指導。授業の単元などを指定して授業場面を展開させる模擬授業。いずれも教師を目指す者の実践的指導力をみる試験として実施される。それぞれ押さえておきたいポイントをみてみよう。

場面指導
■自分の考えをしっかりと

児童生徒に対する1場面、保護者に対する1場面などのケースが多い。まずは設定された場面をしっかり理解することが求められる。あいまいな理解で答え始めるのではなく、「それはこういうことですか」と確認しても構わない。場面によっては不適切な対応があるわけだから、設定された状況をしっかり捉え、適切な対応を示す必要がある。受験者の何を見ようとしているかというと、実践的指導力である。教育に関する知識や理論だけではなく、学級担任や教科担任として、この人物に児童生徒を任せていいかどうかを判断する。そのために、誠実さ、思いやりはもちろん、とっさの判断力、思考の柔軟性、教員としての使命感などが試される。問題への対応は、個人としてではなく、学校という組織の中で考えることが重要とされる。校長など管理職への連絡と相談、同僚との連携などを念頭に置くとよいだろう。ただしポイントは、自分の考えをもっているかどうかである。管理職への相談が大事といっても、ただ指示を仰ぐだけ、あるいは頼りっぱなしのような印象を与えると逆効果である。また「まずは記録をきちんととってから対応を考えたい」などのように、消極的な印象を与える回答も避けたい。「学校という組織の視点を持つ」「児童生徒や保護者の話を十分に聞く」点を大事にしながらも、教員として自らの役割をしっかりと押さえた考え、行動を示すようにしたい。

模擬授業
■大きな声で堂々と行う

自分は適切な授業を行うことができる、という点を強くアピールをしなくてはならない。だから、明るく大きな声で模擬授業を行うのが基本である。恥ずかしそうなそぶりをする受験者も少なくないようだが「なり切って演技する」のが大事と心得よう。模擬授業の印象をよくするための最重要ポイントは、次に示す。

▽明るく、大きな声で演技する。
▽黒板は必ず使う。課題が事前に分かっている場合は、あらかじめ板書計画を立てておく。
▽用意されているチョークは、できるだけ多くの色を使って効果的な板書を心掛ける。
▽図や絵などを描いてみせると効果的。
▽学年配当漢字を確認しておく。その学年で習っていない漢字は使わない。
▽児童生徒が目の前にいるつもりで、声を掛け、発問し、指名する。答えを聞いて反応し、ほめたりする。
▽与えられた課題にきちんと応える。前置きが長くなって、課題に触れる時間が少なくならないように注意する。
▽児童生徒役の他の受験生がいる場合は、なるべく指名する。自分が児童生徒役の場合、指名されたらきちんと答える。
▽ネガティブな言葉は使わないように注意。
▽制限時間を守る。終了を告げられたら、途中でも「これで終了します。ありがとうございました」といってから終了する。

終了後、引き続き面接が行われ、授業の視点や考え方についても問われる場合が多い。教材解釈力、指導力、教科専門性、指導の観点、単元の構成などについて質問される。主な質問項目を別表にまとめておいたので、準備をしておこう。

場面指導 代表的な質問と回答例

質問①

授業中に騒いでいる子が何人かいます。対応してください。

▽回答例

全体に対しては、何か具体的な作業を指示して集中させる。一方、騒いでいる数人の子供を集めて指導をする。そのときに、「なぜ騒いでいるのかを、しっかりと聞き取る」「周りに迷惑をかけないよう注意する」よう心掛ける。

▽回答のポイント
①全体に呼び掛けたり、強く叱ったりするだけでは、かえって騒ぎが大きくなってしまう
②全体への指導と騒いでいる子への個別指導を分けて実施できるかどうかがポイント。同時に進行させるために全体には作業・課題を与える
③騒ぐ理由を必ず子供から聴取する
④「学校では勉強に集中する」「周りの勉強している友達に迷惑をかけない」ことの大切さを厳しく説諭する
質問②

保護者から「通知表の評価の仕方に問題がある」と電話によるクレームがありました。どのように対応しますか。

▽回答例

保護者がどのような不満を持っているのか、誠実かつ丁寧に聞き取る。その上で担任としての考えを説明する。直接会って話し合うのが望ましい。電話でのやり取りは、表情が見えないだけに感情的になりやすい。

▽回答のポイント
①通知表には保護者も敏感であり、その結果にこだわるのは当然である。学校の方針、学年の申し合わせを十分に理解し、独りよがり、曖昧な回答をしない
②担任としては、評価・通知表について保護者への説明責任を果たさねばならない。普段から評価の客観性、公平性を保つように準備しておく必要がある
③「客観的なデータをそろえて質問に答える」「評価基準・評価方法についてあらかじめ説明しておく」「常に自分の評価活動を見直し改善する」などに努める
質問③

クラスでAが物を盗むといううわさが出ています。Bから「多分Aがとったと思う」と訴えがありました。クラスとAにどう指導しますか。

▽回答例

Aに確かめるのは十分に事実確認をしてからにする。そのためにはBや学級のメンバーから事実を丁寧に聞き出し、記録・分析する。その上で確実な証拠がある場合は、Aへの指導に当たる。クラスでは犯人探しをさせない。

▽回答のポイント
①人権尊重の観点が重要。子供を犯人扱いしてはならない。確実な証拠がない限り、Aを疑わないように指導する
②事情聴取に当たっては、「自分はどこで何を見たのか」「Aはどのような動きをしていたのか」など正確に聞き取り記録する。それらの情報を分析して、盗みが確かなものかどうか考える
③ここまでの状況を管理職に報告し、どのように対処したらよいか判断を仰ぐ
④Aが盗んだという証拠がはっきりしたところで、初めてAに問いただし、以後絶対しないように強く説諭する
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