教員採用候補者選考のため、7月に一次、8~9月に二次の教員採用試験が実施されます。10月頃に結果が発表され、合格者は「採用候補者名簿」に記載されます。ここまでが「教職の夢」をかなえる大きな山場です。その後、配属予定校の校長らの面接を受け、4月に新規採用教員として赴任することになりますが、この間も上り坂です。教員生活1日目から「先生」です。先輩教員同様の職務をこなさなければなりません。このためには、何事にも耐えられる強い足腰を鍛えておく必要があります。
教員採用試験の内容は、任命権者(都道府県教委・政令市教委)ごとに違いがあるので、受験地の実情を正確に把握しておくことが大切です。基本的には、筆記試験と面接試験ですが、受験する校種・教科などによって、実技試験や適性検査が加わります。筆記試験は、時事問題などの一般教養、学習指導要領などの教職教養、教科などに関する専門教養、600~1000字程度の小論文に分けられます。面接試験には、個人面接、集団(グループ)面接、グループ討論があり、模擬授業が課せられる場合もあります。
採用試験では、教師としての「適性」が見極められます。「適性」の中身については、試験を実施する自治体が発表する「採用試験実施要綱」に明示されています。例えば、東京都の場合、「求められる教師像」として次の4点が挙げられています。
例示したものは他の自治体のものと大きな違いはありません。受験予定の実施要綱で確認してください。
教師としての仕事は複雑多岐に及び、「感情労働」(人間関係への気遣いなど、心理的負担が多い)も大きな比率を占めています。新たな課題への対応も増え続け、求められる資質・能力も質・量共に拡大しています。選考試験では、このような観点からの「適性」を適切的確に判断することが求められます。このためには、児童生徒らに対する姿勢や問題行動等への対応力を試すことができる生徒指導に関わる出題は効果的です。
いじめや不登校への対応、規範意識の醸成などの指導力、学校安全への認識など、筆記・面接では、幅広い出題に備える必要があります。採用試験の段階で、全てに「万能」な人などいません。職に就いてからの学びが重要です。しかし、「今の学び」は必ず役立ちます。